キュウリ
キュウリはインド北部が原産とされるウリ科の野菜です。夏に種をまく地這い性と春に種をまく立ち性の2種類があります。一般的には支柱を立てて育てる立ち性のキュウリの方がよく栽培されていますが、暑さや日差し、病害虫などには地這い性の夏キュウリの方が強く、簡単に育てられるといわれています。ただし夏の期間が短い寒冷地では栽培が不向きな事や、地這い性の為に栽培には少々広めの面積を要するなど短所もあります。
キュウリ栽培の注意点・コツ
連作障害は出にくいが、病気が出やすくなることもあるので連作は避けた方が無難です。
酸性にはやや強い(pH5.5〜6.0)
肥沃で日当たり・水はけの良い場所に植えましょう。
株間は40p前後。
病害虫、特にカビ性の病気が発生しやすい野菜なので定期的な薬剤散布が推奨されます。
ニンニクや玉ねぎ類を一緒に植えると害虫予防効果があるといわれています。
栽培時期・栽培暦
キュウリ栽培におけるおおまかな栽培時期・栽培暦は上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の温度により時期は多少前後します。
おおまかな目安としてキュウリの
発芽適温は25度(15度)〜30度(40度)、生育適温が22度(10度)〜28度(35度) 夜間は17、18度となっています。また地温が15度以下となると生育が悪くなります。
※括弧内の温度は限界温度
土作り
土作りは種まきもしくは植え付けの4週間ほど前から取りかかります。キュウリの根は浅く広く張りますので深さ30センチほどまで耕し、堆肥や腐葉土をたっぷりとすき込んで通気性のよい土にしておくのがキュウリ栽培のコツです。
また種まき・植え付けから最初の果実がなり始める頃まで、保温と泥はね防止の為にポリマルチを敷いておくと成長が促進される効果が期待できます。もしポリマルチを敷くのであれば土作りが終わった時点で行っておきます。
種まき時期
地這い性
地這い性のキュウリは6月頃に40センチ間隔でビール瓶の底などを押しつけてまき穴をつくりそこに5〜6粒ごとに
点まきします。
立ち性
立ち性のキュウリは4月下旬頃に直径9mmのポットに3粒ほど種まきし、葉が3〜5枚ほど付いた時点で一番元気な株を40センチ間隔で畑に植えます。
支柱の立て方
キュウリの支柱の立て方に特に決まりはありませんが高さは2mほどとし、強い雨風に晒されても倒れる事のないように横にも棒を這わせてしっかりと補強しておいて下さい。市販されているキュウリ用のネットも便利です。
二条植えとする場合は支柱は合掌式とし株間は40センチ、株が成長してきたらひげが巻き付くように誘引してやります。
水やり
露地栽培の場合は植え付けから1週間ほどは根付かせる為に水はたっぷりとあたえて下さい。その後は実がなるまで水やりは不要ですが、晴天が続き葉が萎れてきたら水やりして下さい。実が成りだしてきたら1〜2日おき程度に水やりを行いますが、実が曲がってしまうようでしたら、水不足が原因の場合もありますので水やりの量・回数を増やしてみて下さい。
なおプランター栽培の場合は水切れとならないように十分注意して下さい。
追肥・肥料
最初の果実がなり始めた頃から追肥を行います。追肥の量は油かすや魚かすを一握りほど。ポリマルチをしていたらこの追肥の時点で取り除き、その後は3週間おきに収穫が終了するまで追肥を行います。
摘芯・支柱立て
キュウリ栽培における適切な摘芯は上手く栽培する為のコツのひとつで、多くの人が対面する問題点でもあります。詳細については次項でご説明していますのでそちらをご参照下さい。
収穫
収穫の適期をむかえたキュウリは(おおよその目安として長さ20cm前後)朝の早い時間帯に実の付け根をハサミなどで切断して収穫します。適期をむかえると早いスピードで次々と実が充実してきますので、こまめにそして早めに収穫することがコツとなってきます。「収穫するのは明日でもいいや」と油断していると次の日には大きくなりすぎてしまうこともよくあります。
適期をすぎても実は成り続けますが、変形していたり実の数が極端に少なくなったりします。このように収穫終了のサインが出たら思い切って今シーズンのキュウリ栽培は終了し、次の野菜栽培にむけて準備していった方が無難です。
ちなみにキュウリ一株あたりの収穫量ですが、プロの農家の方の場合は70〜80個ほど(市場に出荷出来るレベルのキュウリ)収穫する方もおられますが、家庭菜園の現場では筆者が今まで見てきた限りにおいてはよくて20〜30個が平均的な収穫量となっています。
摘芯
摘芯はキュウリ栽培における重要なポイントです。摘芯を行わないとキュウリは好き勝手に伸びて無駄な体力を消耗してしまううえに、栄養が行き渡らず収穫量に影響してきます。また風通しや日当たりが悪くなるほか、地際から病害虫の被害が広がる恐れもあるので、これらを考慮した適切な摘芯がキュウリ栽培の大切なコツとなってくるのです。
立ち性
立ち性、つまりつる性のキュウリの場合、親づるを支柱に誘導し、地際から30cmほどの位置を目安にし、親づるの5〜6節までの子づるは全て摘み取ります。6節より上は子づるを葉2枚残して摘芯、孫づるも同様に葉2枚で摘芯します。親づるは2mほどのところでつる先を摘芯します。本づるの摘芯は作業性を考慮し皆さんの身長に合わせて低めの位置で行っても問題ありませんが、支柱の高さは摘芯予定の高さより少々高めが望ましい高さとなります。
親づるを摘芯した上段部の孫づるは伸ばし放しにしておきますが、隣の株の葉茎と接触するようであれば勢いの強い孫づるを残し摘芯していきます。
地這い性
地這い性のキュウリの場合は主枝を8〜10節(根元から40〜50p)で摘芯して止め、子づる4本ほど伸ばします。子づるは7,8節で摘芯し孫づるを伸ばし、孫づるは5,6節で摘芯します。
プランター
深さ30センチ以上あればプランターでも栽培は可能です。ただしその特性上育てる品種は立ち性のものをおすすめします。
育てかた、
土作り・
元肥・追肥等露地栽培とほとんど変わりませんが、水切れには十分注意して水やりを行うようにして下さい。キュウリは意外と暑さに弱い野菜で水切れをおこすと急速に株が弱り葉が枯れていきます。プランターは特に水切れがおきやすく、また地温も上がりやすいのでお盆を過ぎた辺りから葉が下の方から枯れてしまう場合がよくあります。
また市販の培養土を使用する場合は
石灰による土壌改良や元肥は最初から行われている場合がほとんどですので、購入した培養土の仕様にしたがって下さい。
キュウリが曲がる
元々キュウリというのはある程度実が曲がっているもの。ですから多少キュウリの実が曲がっていても気にすることはないのですが、縮んだように曲がったり、しり太りとなった場合は味そのものも不味くなるので対策が必要です。
原因として考えられるのが収穫適期が終わりに近づいている場合や日光・水分・栄養の不足が考えられます。 また収穫が始まったばかりなのにキュウリの実が曲がるようでしたら、栄養・水不足が考えられますので、日当たりをよくし速効性の液肥を施し水をたっぷりとあたえてみてください。