初心者もKO トマトの栽培方法・注意点
トマトは南米アンデスが原産の健康野菜。家庭菜園の現場では必ずといってよいほど栽培されている人気の野菜です。
スーパーなどでは1年中店頭にならんでいますが、夏が旬の野菜です。太陽の光に十分当てて育てた採りたてのトマトは果物のように甘くみずみずしく市販のものと比べるとまるで別物のように味が異なります。
トマト栽培の注意点・コツ
・
連作障害 有り 3〜4年
・酸性にはやや強い(pH5.5〜6.0)
・肥沃で日当たり・水はけの良い場所に植える
・株間は50〜60p
・摘芯・脇芽摘みはしっかりと
・ナスやジャガイモといったナス科の野菜を周辺に植えたり連作することは避ける
・トマトと相性のよい野菜はバジルやパセリ
・水やりはさほど気にしなくてよい
時期
トマト栽培におけるおおまかな時期・スケジュールは上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の温度により時期は多少前後します。
おおまかな目安としてトマトの
発芽適温は20度(10度)〜30度(35度)、生育適温が25度(5度)〜30度(40度) 夜間は15度〜20度となっています。
※括弧内の温度は限界温度
トマトの種まき
トマトを種から育てる場合は4月頃に直径9mmのポットに3〜4粒ほど種をまき、本葉が出るまでビニールで保温しながら育てます。本葉が3〜4枚ほどになったら間引きして1本にし、本葉6〜7枚以上になり、第1花房が花を咲かせ始めたら畑へ植え付けます。畑に植える際には地温を上げる目的や乾燥防止の為に
ポリマルチをしておくと生育が促進されます。なお開花前の若苗を畑に植えると「木ぼけ」と呼ばれる生育が旺盛となり過繁茂状態になってしまう場合があります。
支柱立て
トマトはそのままだと自重により倒伏してしまうので、根元から少々離れた場所に高さ1.5〜2mほどの支柱を立てておきます。立て方は2条植えの場合は合掌式にしたりしますが、いずれの場合も横にも棒を渡してしっかりと補強しておきます。
肥料
肥料は
元肥の他、植え付け後2〜3週間ごとに追肥を行います。目安としては第1花房の実がピンポン玉程度の大きさとなってから2〜3回ほど。特に実が付きだしてからは実を大きくする為にカリウムが必要となってきます。この時期に葉の先端部分が枯れ始めたらカリウムが不足している可能性が高いので、カリウム分を多く含んだ肥料を施すようにしましょう。
摘芯・脇芽かき
トマト栽培における摘芯と脇芽を摘み取る作業は、もっとも重要な作業のひとつです。成長力が旺盛なトマトは摘芯・脇芽かきを怠ると写真のようにどんどん生い茂り手が付けられない状態となってしまいます。トマトの栽培は栄養を行き渡らせる為に1本仕立てにするのが基本(ミニトマトは2本仕立て)ですが、この方法については重要な事柄ですので次項で詳しくご紹介いたします。
トマト栽培の終わり
家庭菜園のトマトの収穫はその地域にもよりますが、10月頃まで可能です。ただし最低気温が15度を下回り日照も不十分な状態になると次第に色つきや味が悪くなるうえに 成り数も少なくなってきます。また秋の訪れと共に病害虫の発生や落花なども多くなってきますので、基本的には夏に摘芯してトマトの生長を止め、トマトの栽培に適した気温、日照が保たれている期間中に栽培を終えてしまうようにします。
収穫のおおよその目安は開花後45〜50日で、十分に色づいた状態となったら食べ頃です。皆さんの住んでいる地域の気候にあわせて摘芯して下さい。
脇芽かり
前述してあるとおりトマト栽培における摘芯と脇芽かりの作業はとても重要です。トマトは基本的には中心の1本のみを伸ばす1本立てにしますので、出てくる脇芽は見つけしだい指でかきとります。
またトマトは本葉8〜9枚目に最初の花房(第1花房)をつけ、順に下の方から本葉3枚ごとに花房が増えていきます。通常は第5花房まで残しそれより上は本葉2〜3枚残して摘芯して成長を止めます(本サイトの絵では第4花房で摘芯しています)。これは成長力が旺盛なトマトの生長をコントロールし実に上手く栄養がいくようにすることと、夏以降に結実した実は病害虫の被害に遭いやすいばかりか甘さもなくなり、食感も固くなってしまうので、夏の盛りである8月頃に摘芯して生長を止めてしまうことを目的としています。
また第1花房の収穫が終わった頃から、花房より下の葉は切り取り風通しを良くするようにします。
トマトとバジル
トマトの
コンパニオンプランツとしてよく知られているのがバジルです。トマトの近くにバジルを植える事により、病害虫予防、成長促進、風味をよくするといった効果が期待できます。またバジル自体、トマト料理によく合う食材ですから是非バジルのコンパニオンプランツを試してみて下さい。畑にバジルの香りが漂いトマトも甘く美味しそうに見えてきますよ。
病気 虫
トマトに発生する病害虫としては植え付け間もなくから
テントウムシだましの食害やアブラムシが媒介する
モザイク病の被害が発生します。モザイク病は有効な薬剤がないので発生したら早めに株ごと処分してしまうのが賢明です。
また夏以降は
タバコガの食害が発生しやすく、もし実に丸く小さな穴が空いていたらタバコガの仕業と思って間違いないでしょう(写真のトマトの実に開いた穴はタバコガの仕業と思われます)。
実が割れてしまう
トマトを育てていると、実が成っていよいよ収穫、というときに実が割れてしまうことがあります。このひび割れは「裂果(れっか)」と呼ばれ、病気や害虫の仕業ではなく過湿や過度の乾燥、土壌中の養分不足、気温の急激な変化などで起こる生理障害で、1番の原因は大雨や高温による過湿と乾燥といわれています。特に猛暑日が続いた後に台風などで大雨が降ったりすると一晩でほぼすべての実が割れてしまうこともあります。
対策としてはしっかりとした土作りを行った上で植えつけ直後からポリフィルムなどで覆う「乾燥・雨よけ対策」を行えば、裂果などのほか、病気も予防できて果実の糖度も高くなります。
赤くて甘いトマトの育て方
赤くて甘いトマトを育てる一番の特効薬はやはり日光です。ですから日当たりのよい場所に植える事が重要となってきます。また露地栽培の場合、水やりはほとんど必要がなくある程度乾燥させた方が赤くて甘いトマトが育ちます。これは乾燥することにより水分を求めて根が深く伸びていく為で、根がしっかりと張る事により丈夫な株となり実も甘く美味しいものとなるわけです(トマトの根は通常でも地下1.5m以上にも届きます)。
なお収穫時は十分に実を熟させた状態で、実の温度がまだ低い早朝に収穫するのがポイントです。