家庭菜園の肥料



家庭菜園の肥料 良い野菜作りや土作り欠かせないのが肥料です。一言に肥料といっても有機質肥料、無機質肥料(化成肥料)があり、養分の種類は窒素やリン酸、カリを中心に16種類にもおよびます。また肥料を施すタイミングによって元肥、追肥に分かれます。これらの役割や効果を正しく理解することは野菜を育てるうえで非常に大切なことですので、本ページにおいてひとつひとつご紹介していきます。

肥料の種類


 肥料には土作りや基本としてつかう有機質肥料と野菜栽培時に補助・ヘルプとして使用する無機質肥料(化成肥料)があります。

有機質肥料

 動物や植物からつくられた肥料で堆肥、腐葉土、牛糞などは代表的なものです。これら有機質肥料は各栄養素をバランス良く含み地中の微生物の働きを活発にし、野菜作りに適した土作りに欠かせませんが、肥料としての効き目はゆっくりで長く続きます。このような特徴から土作り時の「元肥」として利用されます。



無機質肥料・化成肥料

 化学的に合成させたり鉱石を砕いたりして作った肥料で、目的とした栄養分1種類のみを含むの単肥と複数の化学物質を複合した化成肥料に分けられます。肥料としての効き目は早くその効果も強力です。このような特徴から野菜栽培時、特に結実直前などに施し野菜の生長を後押しする「追肥」として利用されます。
 肥効が強いこともあり与えすぎると野菜が腐ったり、急激に成長しすぎて軟弱な株に育つこともあります。





元肥と追肥 肥料のやり方・タイミング


 肥料は施す時期によって元肥と追肥に分かれます。元肥と追肥はその目的や肥料のやり方が異なりますので以下にご説明していきます。


元肥

 元肥は読んで字のごとく畑の元となる肥料です。野菜の植え付け前の耕作時に施し地中に満遍なく行き渡るようにします。元肥は作物を植えてから収穫するまでの長い間の効果が求められますので、遅効性、暖効性の有機質肥料がよく使用されます。



追肥

 野菜の結実前や実の成熟時など特に栄養が必要な時に成長を後押しする役目をもつ肥料です。これから冬を迎え栄養を蓄えなければならない時や、春の芽吹きの時期に大量の肥料を必要とするタイミングでもよく使用されます。速効性が求められる為、液肥や化成肥料がおすすめです。
 追肥のやり方や時期、種類といった詳細はその野菜によって異なってくるので、各野菜の育て方のページをご参照下さい。


止め肥

 止め肥とは、花芽ができて花が咲く頃に、やや肥料切れになるようなタイミングで施す最後の追肥の事をいいます。花が咲く直前まで肥料が残っていると葉ばかり茂って、花が咲くのが遅れたり、逆に花の方に養分が行きすぎて実が肥大しなかったりすることがあります。
 この止め肥の是非は野菜の種類によって異なってきますが、玉ねぎや稲などは止め肥が収穫に大きく影響してくることで知られています。



肥料の三要素


 前述してあるとおり、野菜が育つ為に必要な栄養素は16種類ほどあります。
 まず基本となるのが三要素とよばる窒素・リン酸・カリの三種類でこれを「肥料の三要素」とよびます。野菜の成長時には大量に消費され、市販されている肥料もこの三要素が中心となります。
 つぎに続くのがカルシウムとマグネシウムでこれをあわせて五要素といいます。カルシウムとマグネシウムはそれぞれ単肥で販売されていますが、土作りの際に使用する苦土石灰の成分がまさにカルシウムとマグネシウムなので、さほど気にする必要はありません
 さらに水と空気から得られる水素・酸素・炭素、そして地中に含まれるイオウ・鉄・マンガンといった要素も微量ながら必要となってきます。微量要素は土中に含まれており有機質肥料を施していれば不足するような事はまずありません。
 以上にように野菜作りで補充しなければならない重要な肥料は三要素となるわけです。


窒素

 三要素のなかでももっとも消費される肥料で、茎葉の生長を促す役割を持ち「葉肥え」と呼ばれています。窒素が不足すると葉の色が黄色くなり全体の勢いもなくなり成長が遅れますが、逆に多すぎると成長しすぎてヒョロヒョロと背丈だけ大きくなったり、葉が茂りいつまでも結実しないといった状態になり病害虫にも弱くなります。
 大量に消費する上に水に溶けるので元肥、追肥で補充します。



リン酸

 花つき、実つきに大きく作用する肥料で「実肥え」と呼ばれています。イチゴやスイカといった果実類には特に重要な成分となります。リン酸は雨で流出することが少ないので元肥を中心に施します。



カリ

 正式名称はカリウム。根の発育を促す肥料で「根肥え」と呼ばれています。大根やにんじんにといった根菜類には欠かせない成分です。根は植物における体力の根源ですので耐寒性や耐暑性、耐病性などを高める効果もあります。カリは水に溶けますので元肥・追肥で補充してやります。また植物はカリ成分を必要量しか吸収しない傾向にあるので、与えすぎによる害は発生しにくい成分です。


肥料のやり方


 肥料のやり方は元肥が畑全面に、追肥が株の周辺にピンポイントで行うのが一般的ですが、ジャガイモやサツマイモといった根菜類を中心に、畝の直下に元肥(主に堆肥)を施す方法もあります。


元肥

全面施肥
元肥のやり方 

 一般的な元肥といえばこの方法。有機質肥料を中心に所定の量を巻き、深さ30センチ程度まで耕します。肥料成分が不足気味と感じたら化成肥料も少々混ぜ込んでおくとよいでしょう。



畝の真下に施肥
費用のやり方 サツマイモや里芋といった根菜類を中心行われる方法。種の直下に元肥(主に堆肥)を施し、直接根が当たらないように土をかぶせたうえで種を置くもの。上述の全面施肥と併用で行う場合もあります。



追肥

追肥のやり方
 追肥のやり方は株の根元に蒔くのが一般的ですが、なかには株と株の間に蒔いたり(もしくは埋める))、畝下に蒔く(もしくは埋める)場合もあります。これは育てる野菜によって異なってきますので詳細は各野菜の育て方のページをご参照下さい。


おすすめ 肥料


 肥料というのは土の状態や育てる植物、またその人の家庭菜園にかける考え方にも左右されるので一概に「おすすめの肥料」と断言しにくいのですが、筆者が個人的におすすめしたい肥料についてご説明していきます。


牛糞

 もっとも安価で手軽に手に入る肥料です。有機質肥料の代表的なもののひとつですが栄養分は少なめなので肥料と言うよりは土作りに適してます。初めて家庭菜園を行う方や荒れた土地の土作りには絶対おすすめです。
 混ぜる量はその土の肥沃度にもよりますが2〜3kg/u、もしくは土5に対して牛糞1の割合(体積比)で混ぜるのが一般的です。比重は0.35kg/gほどですので、仮に40g入りの牛糞を購入した場合、重さは40g×0.35kg/g=14kgとなります。



米ぬか

 有機質肥料における代表的なリン酸肥料。精米所などでは無料で持って行ってよいところもあります。 ホームセンターなどで販売されている米ぬかは肥料用に油を抜いた脱脂米ぬかでこちらの方が家庭菜園には向いているのですが(油脂分が含まれていると肥料への分解が遅い)、個人的には精米所で配っている生の米ぬかでも問題ないと思います。自家製の堆肥作りなどでも大活躍してくれる米ぬかですが、昆虫や微生物の大好物でもあり小バエやナメクジなどが湧くこともあるので、生物達の活動が活発となる暖かい時期の使用は注意がひつようです。混ぜる量は元肥で2〜3kg/uほど施すのが一般的です。
 


化成肥料

 化成肥料ときくと、ケミカル臭がしてなんとなく敬遠されがちですが、家庭菜園には力強い味方です。 流石に有機質肥料を使用せず化成肥料に頼りっきりというのは問題だと思いますが、とにかく素早く強力な効果を得られますので、緊急時のヘルプとしてこれを使わない手はありません。追肥を中心に使用し、種類は三要素が同じ割合で配合されている標準化成肥料が万能でおすすめです。



手作り肥料・堆肥

 自分で腐葉土や堆肥を作るのはある意味家庭菜園を行う人は誰でも一度は考えたことがあるのではないでしょうか?家庭菜園を楽しむ為にも手作り肥料や堆肥作りは筆者もおすすめしますが、注意点も色々多いので詳細は別途「家庭菜園 土作り 堆肥編」でご紹介しています。



肥料の割合


 肥料、つまり野菜における栄養分は基本的に多い方がよいのですが、ある一定量を超えると効果が鈍化し、さらに肥料の量を増やすと今度は急激な生育障害を引き起こして最悪の場合、茎葉が変色して立ち枯れたようになったり、溶けて悪臭を放ったりしてしまいます。

  • 肥料の割合

 上の図でいうところの「適切な肥料の量」の範囲内で施肥すればよいのですが、元々土に含まれている成分量は専門の計測器を用いないと分かりませんし、野菜によっても必要とする肥料の割合は異なってきます。
 基本的には市販されている肥料には畑に蒔く割合が記されていますので(大まかな目安として有機質肥料で1uあたり2〜3kg、化成肥料で1uあたり40〜50g)、その内容にしたがって施肥すれば「適正な肥料の量」の範囲内もしくは近い数値になるはずですし、経験を積むと野菜の生育状況により不足気味の肥料が分かるようになりますから、不足している成分を多く含む肥料を施せばよいわけです。
 その一方で畑に施す肥料に割合は?という質問もよく寄せられます。これは上記の理由で正確にはお答えできませんが、参考までに十分な収穫を得る為に必要な肥料の量を記した農林水産省の資料と肥料の種類と成分量の一覧を添付しておきます。

肥料の割合 平均値

肥料の種類(有機質肥料)とその成分
肥料の成分・割合

 例えば窒素を例にとると露地野菜で必要な量は10aあたり21.3kg。10aは1000uですから1uあたり必要な窒素の量は21.3kg÷1000uで0.0213kg/u=21.3g/uが必要となるわけです。

 仮に栄養分が全く含まれていない荒れ地に堆肥を投入して野菜の収穫までに必要な量の窒素を補充する場合、堆肥に含まれる窒素の割合は0.5%ですから21.3g/u×1000/5で4260g/u、つまり約4kgが必要となります。
 また三要素が8%ずつ含まれている一般的な普通化成肥料で窒素を補充する場合(これは個人的には絶対におすすめしません)、21.3g/u×100/8で266g/uとなります。


 以上、計算した筆者がいうのもなんですが、あまり実践的な数字・例ではありませんので、あくまでも参考までに・・・・