初心者でも簡単 家庭菜園の土作り



 家庭菜園に限らず野菜を育てる際にまず最初に行う作業が「土作り」です。近年は水耕栽培といった土に頼らない野菜栽培の技術も進歩してきていますが、それでもしっかりとした土作りは野菜栽培における基本中の基本で、いわば家の基礎、人間に足腰に相当する重要な作業です。
 土作りの基本的な考え方は土が野菜作りに理想的な団粒構造となるように有機物を混ぜながら耕し、野菜が嫌う酸性土を石灰などで中和させ、前の野菜の残渣を残さず除去し土を若返らせることが主な目的となります。これらは収穫のよしあしを決める大切な要素であり、しっかりとした土作りが良い結果を生むこととなります。


土作りの時期


 まず最初に土作りの時期、つまりスケジュールについてご説明していきます。
 土作りは野菜を植えるもしくは種を蒔く時までに終了させておかなくてはなりません。ですから野菜を植える時期によって土作りに着手する時期が異なってきますが、植え付けは春や秋が多いので土作りはまだ寒い早春や残暑が続く晩夏に行う事になります。


野菜収穫後

 野菜の収穫後、時期的には晩秋の初霜が降りるころになると思いますが、畑に残った野菜の根や茎葉を取り除いたうえで石灰を蒔き深さ30センチくらいまで耕して固まりを砕いておきます。こうすることで前年度発生した病害虫や雑草の繁殖を防ぐことができます。また根や茎葉の残渣は病害虫の温床となり連作障害の原因にもなるので、養分になるだろうと考え土に混ぜ込むのは危険です。





石灰の補充

野菜を植える1ヶ月前

 野菜は中性から弱酸性の土壌を好みますが、雨の多い日本では土壌のカルシウム分が流され強酸性になる傾向にあります。この為苦土石灰や消石灰をまき、あらかじめ酸性度を中和させておかなくてはなりません。この石灰類は野菜の根を痛めてしまったり、肥料と反応してガスを発生させたりするので、野菜を植える2週間前もしくは元肥を混ぜる2週間前に終了させておかなくてはなりません。ただし一般的には元肥を混ぜる作業はほとんどの家庭菜園で行われますので、このことを考慮すると植え付けの4週間前(石灰補充で2週間+元肥の補充で2週間)とするのが一般的です。なお石灰の散布については色々問い合わせの多い事柄ですので別途「家庭菜園の土作り 石灰 編」で詳しくご紹介しています。



元肥を混ぜる

野菜を植える2週間前

 堆肥などの有機質肥料を混ぜることによって土はフカフカの団粒構造となります。また堆肥の効き目はゆっくりでジワジワと肥沃な土に変えていきます。このように野菜を作る前にあらかじめ施しておく堆肥をはじめとした肥料の事を元肥といい、効果や役割を考えると化成肥料ではなく有機肥料を用いるのが理想的です。ただし石灰同様直接野菜の根に触れると根が傷んでしまうことがあるので、植え付けの2週間前までに行わなくてはなりません。また前述してあるとおり石灰と反応しガスを発生させることもあるので石灰を補充してから2週間以上経過後に行います。この元肥を含めた肥料に関する事柄も色々問い合わせの多い案件ですので別途「肥料の考え方」のページで詳しくご紹介しています。



土作りのスケジュール

 上述のことを踏まえ土作りの時期をスケジュール表にすると以下のようになります。あくまでも一般的な家庭菜園における土作りのスケジュールですが、やはり植え付けの1ヶ月前から土作りには着手する必要があります。

家庭菜園 土作り 時期


土作りの深さ


 畑を耕す際の深さは、「深ければ深いほどよい」のですが、家庭菜園の現場では耕す深さにも限度がありますし、場所によっては野菜作りに適さない砂礫土が地表面に出てきてしまうこともあります。
 一般的には20〜25p程度の深さで耕しておけば、野菜栽培に障害が発生するようなことはまずありません。市販のスコップ先端のサジ部分の長さが20〜30pですからスコップ先端が土にすっぽり埋まる程度に耕しておけばOKというわけです。
 ただし大根やゴボウといった地中深くに伸びていく根菜類を育てる場合は当然の事ながら、その野菜の栽培に適した深さまで耕さなければなりません。


土作りの基本


 土作りの考え方については冒頭でも軽くご説明しましたが、その理由や原理を理解しておくと自分なりに工夫もできますし、自分の畑にあった土作りができます。ですから本項では土作りの考え方についてご紹介しておきます。土作りの意味を理解されたら皆さんで一工夫凝らし、より自分にあった土作りを行ってみて下さい。



土の団粒構造

 土とは下の図のように土本体の他に空気と水によって形成されています。また土本体は有機物と無機物に分類することができます。これらのバランスが下の円グラフのようにちょうど良い状態を「団粒構造」といい、水はけ、水もち、通気性のよい野菜作りにもっとも適した土となります。


  • 家庭菜園 土作り 団粒構造
水及び空気が多い土
 水及び空気は土における「すき間」であり、このすき間が多い土とは一般的に水はけのわるい軟弱地盤や湿地等が相当します。水分が多いので野菜が根腐れをおこしたり、野菜を植えた後に地面が沈下するといった被害が生じたりします。対策としては畑の畝を高くするなどし水はけをよくしたうえで堆肥、牛糞といった有機質肥料を混ぜフカフカの土にすることで適度のすき間をもった水はけのよい土とすることができます。 


土の割合が多い土
 土の割合が多い土とは単粒構造の土と呼ばれ、分かりやすくいえばよく締め固まった土のことを言います。このような土は植物が根をのばしにくく、野菜栽培にむいてません。対策としてはよく耕したうえで上記同様堆肥、牛糞といった有機質肥料を混ぜることで改善できます。また籾殻勳炭を混ぜることで通気性をよくすることができます。


無機物が多い土
 無機物とは炭素を含まない物質のことで、土の場合主に砂と粘土が相当します。砂が多いと空気の割合が、粘土が多いと水分の割合が多くなりますが一般的にすき間は少なく、植物にとって栄養分の少ない痩せた土地となります。対策としては堆肥、牛糞といった有機質肥料を混ぜる他に砂質土、粘性土おのおのに適した野菜を植える方法もありますが、いずれにせよ一定割合の有機物が含まれてない土での栽培は難しいです。ちなみに砂質土では根が伸びやすいので野菜の生長は早いのですが、老化も早く病害虫に弱く未成熟の作物ができやすく、粘性土では根の伸びがゆっくりな為、野菜の成長も遅いのですが丈夫でしっかりとした作物が収穫できる傾向にあります。



団粒構造と有機質肥料

 最後に本項で度々登場する団粒構造と有機質肥料の役割についてご紹介しておきます。
 団粒構造とは一言でいえばフカフカの土のことで、水はけ、水もち、通気性のよい土のことを言います。「通気性と水はけがよいのに水もちもよい」と聞くとなにやら矛盾しているように感じますが、ここで有機質肥料が大きな役割を果たします。
 有機質肥料を荒れ地に混ぜると有機物の働きで無機物と結合します。また有機物が含まれていますからこれらを餌とする微生物の活動も活発となり、さらに大きく結合したものができますし、植物が必要とする微量元素・・つまり肥料成分も生成されてきます。こうして栄養分を含んだ大小様々な土の塊、そしてすき間ができてきます。これが団粒構造とよばれる状態の土で、大きなすき間を空気や水が通り(水はけ、通気性がよくなる)、小さなすき間では水をため込みます(水もちがよくなる)。このような土では大雨が降ってもドロドロの状態になることはありませんし、晴れた日が続いても土を軽く握ってみるとしっとりと湿り気を感じる植物にとって理想の状態となっているのです。


 最後に土作りについてはJA春日井さんのHPでも分かりやすく紹介されているので参考にしてみて下さい。