とうもろこし(スイートコーン)



とうもろこし スイートコーン 栽培 とうもろこしは南米が原産の穀物で、その糖分の多さから米や小麦などと並んで主要な穀物のひとつとして世界各国で栽培されてきました。日本でもとうもろこしの主な栽培地域は生産量10位以内に北の北海道から南の宮崎県までと南北幅広い地域がランクインし、多くの地域で栽培されていることがうかがえます。また家庭菜園においてもとうもろこしはその甘さから常に人気の上位にランキングしている定番の一品となっています。
 収穫してから1時間で甘さが半減するといわれるとうもろこし。その採りたての味を楽しめるのはまさに家庭菜園の醍醐味です。


とうもろこし(スイートコーン)栽培の注意点・コツ

・種まきから収穫までの期間が短いので元肥はたっぷりと施します。

・pHは5.5〜7.5と比較的幅広い範囲の土壌で栽培することができます。

・水はけの良い土壌を好むので、土はやや乾燥気味にして育てます。

連作障害は出にくい野菜です。

・種まき時の株間は30p前後

・トマトと混植すると成長阻害を引き起こすことがあります。

・同じとうもろこしでも異なる品種は離して植えるようにします。


とうもろこし 栽培カレンダー(種まき時期・収穫時期)


とうもろこし トウモロコシ スイートコーン 収穫時期 種まき時期

 とうもろこし(スイートコーン)の栽培におけるおおまかな栽培・収穫時期は上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の気候や栽培する品種により時期は多少前後します。おおまかな目安として地温が15度を超すと発芽し、生育適温は22〜30度で、生育限界温度は低温7度、高温40度までとなっています。



土づくり・元肥

 とうもろこしは種まきから収穫まで約3ヶ月と期間が短いため、栽培する場所はなるべく日当たりが良く肥沃な場所を選ぶようにします。 元肥のおおよその分量は1株あたり堆肥と化成肥料をそれぞれ一握りづつとし、深さ10〜15センチの溝を掘ったうえで施しておきます。ちなみにとうもろこしは球肥力が強く痩せた土地でも日当りさえ良ければそれなりに育ちます。この為肥料多寡となった土地の養分を吸収・改善する為に植えられることもあります。



種まき時期・セルトレイ栽培・トンネル栽培

 種まきは遅霜の心配のなくなる4月下旬頃に行います。幅60〜70センチの畝に株間30センチで1箇所に3〜4粒づつ点まきし、2〜3センチほどの覆土を行います。なお種は尖った方を土に刺すようにまきます(尖った方から発芽する為)。とうもろこしの種はカラスをはじめとした鳥類も大好物なので食べられないように覆土はしっかりと押さえ、芽が出るまで寒冷紗などで覆うか、もしくは草丈30センチほどに成長するまでポリマルチを行うと発芽及び成長が促進され効果的です。なおとうもろしは別の個体の花粉でしか受粉できないので、実つきをよくする為には10株程度をまとめて植え、お互いの花粉が別株の雌穂にかかるようにするのが理想とされています。家庭菜園の現場では10株も植える広さを確保するのは難しい場合もあると思いますが、この場合は一畝に30センチ間隔で2〜3条蒔きとするのも一案です。





セルトレイ栽培
トウモロコシ 栽培 セルトレイ 鳥害や害虫の予防、発芽促進を目的にとうもろこしを育苗してから畑に定植する場合、セルトレイを用いると大変便利です。セルトレイは72穴を用い、本葉が3枚ほどになったら畑に植え替えます。寒冷地など保温が必要な場合は畑にビニールトンネルを設けトンネル内で栽培したり、気温の安定した屋内で発芽させるようにします。



トンネル栽培
トウモロコシ トンネル栽培 とうもろこしは発芽適温や生育適温が他の野菜に比べ高いので、寒冷地等で早い時期から種まきする場合はトンネル栽培がよく用いられます。トンネル栽培を行う場合、比較的気温が低くても日差しが強い5〜6月にトンネル内が高温となりとうもろこしが枯れてしまうことがあるので、日中の換気は必ず行うようにして下さい。またとうもろこしの草丈がビニールトンネルよりも高くなってきた場合、トンネル上部に穴を空け、とうもろこしが生長できるようにします。
 トンネル栽培はポリマルチと併用することにより生育促進の他に病害虫や雑草の予防効果も期待できます。また一般的な露地栽培より成長が早く収穫も早いことから台風が発生したり害虫が発生する前に収穫を終える事もできますので寒冷地での栽培や前年度害虫に悩まされた方などにはおすすめの栽培方法です。


トウモロコシは台風をはじめとした強風による倒伏の被害を受けやすい野菜です。





肥料・水やり

 無事芽を出したとうもろこしは草丈が20センチ程度になるまでの間に間引いて1箇所1株とし(間引きは根から引き抜く必要は無くハサミで地上部を切断するだけでOKです)、草丈が30センチほどになった時点で追肥を行いしっかりと土寄せしておきます(倒伏しやすい植物ですので土寄せは大事な作業となります)。この頃になると根元から腋芽が出てくることがありますが、よほど大きなものでないかぎりは放任しておいてかまいません。

 やがて雌穂が2〜3本つきますが、一番上のものが最も大きくなりますので、下の方にある雌穂は絹糸が出る頃に摘心します(筆者個人的には1株1果どりをおすすめします)。摘芯した雌穂はヤングコーンとして食べることができます(収穫したばかりのヤングコーンもビックリするくらい美味しいですよ)。

 またとうもろこしは水はけのよい場所を好むので、露地栽培の場合は特に水やりは行う必要はありませんが、実の成熟期に土が乾いていると大きくならないので、出穂以降日照りが続いたら水をたっぷりと与えます。



害虫

 とうもろしに発生する害虫としてはアブラムシイネヨトウなどがありますが、もっとも有名で菜園家の皆さんを悩ませるのが「アワノメイガ」です。アワノメイガの幼虫は最初は雄花を食害し、やがて雌穂に移動しちょうど熟して食べ頃のとうもろこしを台無しにしてしまいます。アワノメイガが発生すると雄花が白くなりやがて茶色い糞も目立つようになるので、このような状況になったら即座に雄花は切り取って薬剤を散布します。もちろん事前に薬剤を予防散布しておくのも有効ですし、鳥害対策も兼ねてネットをかぶせておくのも効果があります。
 


収穫時期

トウモロコシ とうもろこし 収穫時期 雌穂から絹糸が出て(雌穂が開花)から20〜25日。雌穂からでている絹糸が濃い茶色となり(黒くなると遅すぎる)、実の先端部分を触ってみて固く充実していたら(トウモロコシの粒々感が伝わってきます)収穫時期の到来です。時期的には8月に入ってからになると思いますが、収穫直前にあらかじめお湯を沸かしておいて収穫してすぐに茹で上げたとうもろこしの甘さは格別で是非ともお勧めしたい食べ方です。
 なおトウモロコシは付け根から成熟していきますので、先端分の皮をめくって直接確認する方法もあります。先端部分が成熟していれば付け根部分も間違いなく成熟しています。



未成熟のトウモロコシ こちらの写真はまだ半分以上が未成熟のトウモロコシです。根元部分は黄色く熟していますが、ヒゲの付いた先端部分がまだ白くなっています。白く未成熟の部分はいくら湯がいても青臭さが残り食べるに適してません。



プランターでの栽培


 前述してありますが、とうもろこしは肥料の吸収力がすごいのでプランターでも元気よく育ちます。ただし、別の個体の花粉でしか受粉できないので、実つきをよくする為に1つのプランターに最低でも2株。できれば2株植えたプランターを2個並べるなど効率よく受粉できるような工夫が必要となってきます。また倒伏しなように支柱立ても行っておきましょう。



とうもろこし栽培の失敗 例・害虫


 とうもろこしは比較的栽培しやすい野菜といわれていますが、それでも油断していると栽培に失敗してしまうこともあるので、本項では主な失敗例や代表的な害虫についてご説明していきます。


失敗


先端不稔
 先端不稔とは実の先端部分が未成熟になる状態のことを言いますが、主な原因としては天候不良、密植しすぎている、花粉量の不足などが考えられます。この他、近くで別の種類のとうもろこしが栽培されていると、その花粉が受粉し品質の劣るとうもろこしとなる場合があります。
 先端不稔の対策については適正な本数、間隔での株の植え付けにつきるのですが、もし被害が酷いようであれば、雌穂が開花してしばらく経過してから雄穂を切断し人工的に受粉させるのも一案です。



害虫
 前述してありますがとうもろこしの栽培において一番やっかいな害虫が「アワノメイガ」です。放っておくと果実内に侵入し収穫直前のとうもろこしを台無しにしてしまいます。発生時期は地域によって異なると思いますが、基本的にはいつでも発生するので油断すること無く観察し雄穂で被害が確認できたら即座に切り取って被害の拡大を防ぎましょう。
 この他、害虫ではありませんが鳥害も意外と厄介で、種まき直後に種を食べられたり、収穫を控えた実を食べられたりすることがあります、いずれの被害も短期間(数時間単位)の間に行われ被害規模も大きいので、事後対策ではなくネットを張ったりトンネル栽培にするなど事前に対策を施しておく必要があります。