家庭菜園 用語集



覚えておきたい家庭菜園用語

 どの業界、世界においても独特の専門的な用語が存在するものですが、家庭菜園においても独特の専門用語が数多く使われています。それらの用語の意味を一通り理解していないと専門書やサイトで野菜の育て方を調べても十分に理解できなかったり、誤った知識が身についてしまうこともあります。
 本ページでは家庭菜園においてよく使用される代表的な専門用語をご紹介していきます。




育苗ポット
育苗ポット 植木鉢のような形をした、育苗用の容器。塩化ビニールで作られ何回も再利用可能な「ポリポット」と、土に還る原料で作られそのまま土に植える事ができる「ジフィーポット」があります。またサイズは規格化されており一般的に3号(口径9cm)、4号(口径12cm)、5号(口径15cm)辺りのサイズがよく使われ、号数はだいたい3cm大きくなるごとに1号ずつ大きくなります。



寒冷紗(かんれいしゃ)
寒冷紗 網目状の被覆資材です。遮光目的に使用されますが、他にも乾燥、暑さ寒さ、風、虫等の対策にも効果があります。



好光性種子(こうこうせいしゅし)
 種が発芽する際に日光を必要とする植物の種のこと。発芽するときに光が必要なため、種をまいた後に上に土を掛ける(覆土)際は薄くかけるかもしくは覆土をしません。しかし、その状態だと土の表面が乾燥しやすいので、こまめな散水を行うか寒冷紗などで養生するなどの対策が必要となる場合があります。
 代表的な好光性種子としてニンジン、コマツナ、レタス、カブ、ホウレンソウ等があげられます。
 ちなみに反対に暗くないと発芽しない種を嫌光性種子(けんこうせいしゅし)といいます。



展着剤
 展着剤とは農薬をはじめとした散布剤を虫や植物に付きやすくするもので雨露による流亡も防ぎます。通常植物や虫の表面には蝋成分が分泌されており散布剤をかけても弾かれてしまうので、おおくの散布剤では展着剤の使用を勧めています。



直播性
 直播とは、直接畑やプランターに種を蒔いて収穫まで生育させる栽培方法のこと。
 大根やニンジンといった直根性の野菜や、生育期間が短い等の理由で葉茎の耐久力が弱い野菜は植え替えをすると株が傷んで弱ってしまいます。このように植え替えに適さず直播することが望ましいことを「直播性が強い(高い)」といいます。



地力(ちりょく)
 その土地が作物を育成させることができる総合的な能力。地力に厳密な定義はなく土地そのものの力の概念のようなもの。



蔓ボケ(つるぼけ)
 「つる」や葉茎が伸びすぎていつまでも開花や結実がおこならない状態。カボチャやスイカなどによく見られる現象です。
 成長段階で窒素成分が多いと葉茎の成長は促されますが、根や花芽の形成は阻害されてしまうことが主な原因です。対策としては茂りすぎた葉茎を適度に剪定する、窒素成分の肥料は抑え根の成長を促すカリウム成分の肥料を与えるといった事等があげられます。



とう立ち
 「抽苔(ちゅうだい)」とも言い、花茎が伸びて開花すること。日長や気温、成熟度など条件は各植物によって異なります。とう立ちすると野菜のエネルギーは花茎に注がれてしまうので葉物野菜やイモ類などはとう立ちしなように、またとう立ちしても花茎を剪定するなどして調整します。



徒長
 主に日光不足が原因で植物が細くてひょろひょろと伸びた状態になること。詳細は別途「野菜の種まき「徒長の項」」をご参照ください。


花芽の分化
 今まで生長点で葉を形作っていたものが、のちに花が咲く芽を作るように性質が変化した段階の事を、花芽の分化といいます。葉から花芽への変化は茎の先(生長点)や葉腋(わき芽)につき、日照時間、温度、その作物の成熟度などがスイッチとなって変化が始まります。



鉢上げ
 一般的には挿し木したり種子をまいて育てた苗を、苗床から鉢に植え替える作業をいいます。
 家庭菜園の場合販売されている苗は、サイズの小さいポットに植えられている場合が多いので、すぐに移植する環境に無い場合、サイズの大きなポットに植え替え(鉢上げ)して、植え付け適期になるまで育苗したりする事があります。



ビニールトンネル・トンネル栽培
トンネル栽培 ビニールトンネル 種まきや幼苗時等に畝に支柱を立ててビニールなどのシートをトンネル状にかけて保護しながら栽培する防寒対策のひとつ。日差しの強い春先は外気温は低くともトンネル内の温度は高温となる場合があるのでトンネル内が蒸れないように日中の換気も必要となります。



プランター
 ベランダなどで植物を育てる為の容器。プラスチック製で長方形の箱形をしたものが一般的ですが、なかには木製や陶磁器、金属製のオシャレなものもあります。



ポリマルチ・マルチ栽培
ポリマルチ・マルチ栽培 マルチ栽培とはビニールなどの被覆材でマルチング(植えた植物の地表面(株元)をビニールなどで覆うこと)して育てる栽培方法でマルチングを施す事により雑草の発生を防ぐほか、水分の蒸発や病害虫の発生を防ぐことができます
 マルチングに使用する素材がビニール製のものを「ポリマルチ」といい、施す理由が寒冷対策や雑草対策であれば黒を用いますし、さらなる地温上昇効果を得たい場合は透明なものを用います。
 またマルチ栽培に使用する素材はポリマルチ以外にも自然素材の刈草やワラ、ウッドチップ、バーク、ピートモス、などさまざまな素材があります

ホットキャップ
 一般的には透明のプラスチックでできたドーム状の形をしており、保温目的で種まき後や植え付けた幼苗にかぶせます。頂部には温度調整用の穴が開いており温度が上がりすぎるのを防ぎます。
 なお簡易なものであれば支柱とビニールで自作することもできます。



薬害
 農薬など使用によって農作物が生理的障害をおこすことをいい、原因としては決められた濃度、使用回数、使用時期を守らなかった事があげられ、障害の内容は多岐にわたります。



有機栽培・有機野菜
 有機栽培とは化成肥料や化学合成農薬を使用せず野菜を栽培する事で、有機栽培で作られた野菜の事を有機野菜といいます。有機栽培・有機野菜の定義は法律で定められています。



輪作
 一定年の期間、同じ農地において種類の違う作物を一定の順序で栽培し地力の低下を防ぐ農作方法。
 中世ヨーロッパで行われた農地を3分し、冬畑・夏畑・休耕地とし、年々順次交替させて行う「三圃(さんぽ)式輪作」は代表的な輪作方法。



早生品種
 一般的な品種より早く育つ品種の事。大根や枝豆がよく知られていますが他にも多くの野菜に早生品種があります。