紫蘇(シソ)・大葉・エゴマ
シソはヒマラヤ地方が原産とされ、暑さに強く放任しておいてもよく育ち、こぼれ種からも増えていく生育旺盛な芳香性の植物です。葉、実共に利用できる香味野菜で栽培も簡単なことから家庭菜園の一角に植えておくと何かと便利な野菜です。
シソの清涼感のある独特の香りの成分はペリアラルデヒドといい防腐作用があり、この他抗アレルギー成分として知られるαリノレン酸なども含まれています。
シソには大葉と呼ばれる青シソと梅干しの色づけなどに利用される赤シソがあり、それぞれちりめん種があります。また同じシソ科で葉を焼き肉などに巻いて食べるエゴマはシソと非常に近い種類で育て方もほぼ一緒なので、本ページで合わせてご紹介しています。
紫蘇(シソ)・大葉の栽培・育て方の特徴・コツ
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連作障害はおこりにくいとされていますが1〜2年ほどあけて育てた方が無難です。
・水不足で乾燥すると葉が固くなり食味が落ちます。また養分が不足すると葉が小さくなるので肥料切れと乾燥には注意しましょう。
・株と株の間は20〜30センチ前後とします。
・弱酸性の土を好みます(適正ph6.0〜6.5)。
紫蘇(シソ)・大葉の栽培期間・栽培暦
紫蘇(シソ)におけるおおまかな栽培期間(栽培暦)は上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の気候や栽培する品種により栽培時期は多少前後します。シソは気温が温かくなってくる5〜9月の期間中ならいつでも種まきできますが、種を収穫して佃煮などに利用しようと考えている場合は春に種まきします。
種まきのおおまかな目安として
発芽適温は20〜25度。育生適温は20〜22度ですが真夏の暑い時期になると発芽率は低くなります。
土作り・種まき
種まきは十分に気温が高くなってきた頃に行います。痩せ地なら1uあたり堆肥をバケツ一杯、化成肥料を2握りすき込んで畝をつくります。シソは大量に消費する野菜ではないので、他の野菜の畝の隅に植えてみるのも一案です。
紫蘇・大葉の種は日当たりの良い場所に重ならないように
すじまきにします。なお種は一晩水に浸しておくと発芽しやすいです。また種は
好光性ですから薄く覆土をし発芽するまで乾燥しないように気を付けます。
発芽し本葉が5〜6枚ほどになったら青ジソは株間30センチ、赤シソは20センチを目処に間引きします。またエゴマは基本的にはシソと育て方は一緒ですが、シソに比べると大きく育ち倒伏しやすいので、支柱を立てておくとよいでしょう。
摘芯・追肥
シソは放っておいても元気に育ってくれますから特に追肥は必要ありませんが、生育が悪いときは窒素分を中心に追肥します。また乾燥が激しい時は水やりします。
シソがある程度まで成長し花穂が付き始めたら花穂を摘芯していきます。摘芯せず花を咲かせると葉がつかなくなってきますので、摘芯することによって葉の収穫量を増やす事ができます
また夏も終わり葉の収穫も終わりに近づいてきたら今度は摘心をやめ、花を咲かせ種を収穫します。
なお摘心した花穂は天ぷらなどにして食べる事ができます。
収穫
本葉が開いてきたら必要に応じて下の方から葉を収穫していきます。梅干しの色づけやシソジュースなどに用いる場合、大量の葉を必要としますがある程度育っていれば大量に葉を収穫しても再び元気に葉を茂らせてくれます。
夏が終わる頃になると花穂が出てきますので3分の1ほど開花したタイミングで付け根から切断すると「穂ジソ」になります。また花が咲き終わり結実したら穂がまだ青いうちに実を収穫します。実は下からしごき取り、塩漬けや醤油漬け佃煮などに利用します。
プランターでの栽培 冬・室内での栽培
プランターでの栽培
シソは大量に消費するような野菜ではないので1〜2株の少量で育てるプランター栽培にも適しています。プランターで育てると後述してあるような雑交や勝手に増えていくような被害も防げます。
プランターのサイズは標準サイズで十分で水切れ、肥料切れをおこさないように注意して育てましょう。日当たりの良いベランダなどに置いておくと元気に育ってくれます。
冬・室内での栽培
前述してあるとおりシソの生育適温は20〜22度で低温には弱く、気温の低い環境が続くと次第に萎れて育たなくなりやがて枯れてしまいます。住宅の保温性が高く冬でも20度前後の室温を保てる環境であれば冬でも栽培可能ですが一般的な家庭の環境では冬に栽培できても大きく育つような事はなく、葉の色、香、食味共に夏に比べ劣る傾向にあります。
栽培失敗例 育たない
シソは前述してあるとおり非常に生育旺盛な野菜で余程の事がない限りは失敗したり、育たなく枯れてしまうといった事はありません。しいてあげるなら種まきから幼苗の期間に温度が足りずなかなか発芽しなかったり、発芽しても元気がなく幼苗のまま萎れて失敗してしまうといった事があげられますが、これも地温が十分に上がた頃に種まきをすれば問題無いと思います。
またシソは病害虫にも強く希にアブラムシやハダニが発生する程度です。アブラムシやハダニは乾燥すると増える傾向にあるので、乾燥時にはこまめに水やりをするようにしましょう。この他褐斑病やさび病が発生する事がありますが、この場合は早めに病株を除去処分して被害の拡大を防ぎます。この他青ジソは葉の収穫時期になるとコガネムシなどの食害を受けやすいので、この場合は防虫ネットなどで覆い害虫の飛来を防ぐようにしましょう。
なおここから先は筆者の個人的な意見ですが、前述してあるとおりシソは病気や害虫に強くまた数多く植えるような野菜でもありません。ですからシソについては基本的には薬剤は使用せず、手作業による早めの病害虫駆除を心がけて育ててみてはどうでしょうか?いつでも安全なシソを楽しむ事ができると思います。
シソを植えてはいけない???
たまに「シソは庭に植えてはいけない」ということを耳にする事があります。これはどういう意味なのでしょうか?
シソは本ページで何度も申し上げているように非常に生育旺盛な植物で、放っておくとこぼれ種でどんどん増えていってしまうえに青シソ、赤シソ、エゴマの3種類は互いに雑交しやすく雑交してしまうと味や香りが劣ってしまうという特徴があります。
ですからシソは育てやすいという特徴の反面、育てる場合にはシビアな生育管理が必要という特徴ももっているのです。
、皆さんももしシソを自分の庭で育てる場合には適正に摘芯・収穫しこぼれ種が散らからないように、また雑交しないように注意して育てるようにして下さい。シソ自体は大量に育てるような野菜ではありませんのでさほど難しい作業ではないと思います。