そら豆



そら豆 栽培 そら豆は中央アジアから地中海沿岸が原産とされる豆科の野菜で、完熟前の新鮮な実が美味しく地中海沿岸では欠かすことのできない食材です。日本ではスーパー等に出回るまでに鮮度が落ちてしまっている場合が多く、なかなか美味しいそら豆に出会う事はないのですが、家庭菜園ならば採れたての甘いそら豆を食べる事ができるので是非とも試してもらいたい一品です。
 低温にあわないと開花しないうえに、日本の高温多湿の夏が苦手な為、秋に種をまいて冬の寒さにあてたうえで翌年の梅雨入り前に収穫するのが一般的ですが、夏が涼しい北海道や北東北などの寒冷地では春先に種をまいて夏に収穫します。



そら豆栽培の特徴・コツ

・空を向いていたさやが下がったら収穫のタイミングです。

・育てやすい豆で暑くなる夏前に収穫さえできれば失敗する事は少ないです。

・酸性土に弱いので苦土石灰による土壌改良はしっかりと行いましょう。

連作障害が発生しますので、4〜5年空けてから育てるようにしましょう。

・株間は30センチ前後とします(株間をたくさんとった方が収穫量は多くなります)。

・乾燥が激しい場合はたっぷりと水やりをします。特に開花以降乾燥気味の場合、実入りが少なくなるので注意しましょう。



そら豆の栽培暦


そら豆 栽培暦

 そら豆栽培におけるおおまかな栽培暦(栽培時期)は上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の気候や栽培する品種により栽培時期は多少前後します。おおまかな目安として発芽適温は20度、生育適温は16〜20度前後で20度を超すと成長が鈍化し、10度以下、30度以上では発芽しにくくなります。
 寒さに強い野菜で特に幼苗期は0度以下になっても耐える事ができます。なお冬はいったん成長が止まりますが、寒さにあたり気温が5度以上になる頃から再び生育しはじめます。


土づくり

 日当たりの良い場所に苦土石灰をまいてしっかりと中和したうえで、幅60〜70センチの畝をつくり種まきの1週間程前に元肥として堆肥と化成肥料を1株あたり2握りを溝を掘って施します。目標とするpH値は6.5〜7.5と高めですので、目標のpH値になるようにしっかりと土作りをしましょう。



種まき

 種は初霜がおりる前の10月下旬から11月上旬にかけて株間30センチ前後で1箇所に2粒づつ「おはぐろ」とよばれる黒い筋が斜め下になるように2〜3センチの深さ(豆の頭頂部が僅かに見える程度)に押し込みます。そら豆をはじめとした豆類はこのおはぐろの部分から芽と根がでますので向きは間違わないようにして下さい。このほかそら豆は下の写真のように発芽しても子葉(二葉)は開かず地中部分に残ったまま本葉が成長していきますので、種が地中部分に残った状態で成長していってもそれは正常な状態で何ら問題は無いので安心してください。
そら豆 発芽 種まき

 またそら豆は鳥害に特に遭いやすいので、種まき後は本葉が展開するまで不織布等をべたがけしておくか、ポットで育苗してから畑に定植する等の鳥害対策をしておきましょう。
 なお地域によっては、春先にある程度まで成長したそら豆の苗を販売している種苗店もあるので(北海道や東北地方といった寒冷地で多いようです)、苗から栽培してみるのも一案です。



冬・越冬

 12月中旬頃になったら乾燥・寒さよけ対策の為に敷きわらもしくは黒マルチをして越冬させます。
 冬は本葉が5〜10枚程度の状態で越冬するのが理想で、成長しすぎていると冬の寒さにやられてしまいます。
 またポットに種をまいて室内で越冬する方法もありますがポットの部分。つまり根の部分が寒さにあたると急速に弱ってきますので温度管理には十分気をつけて下さい。



追肥・摘心


追肥
 無事に冬を越し暖かくなってくると、再び成長が始まります。このタイミングで肥料不足にならないように追肥を行い、倒れないように土寄せも行います。
 その後1ヶ月ほど経過すると蕾みが膨らんできますので開花前に再び肥料不足とならないように追肥します。そら豆は豆科の植物ですので窒素分が多すぎると葉ばかりが生い茂り花がつかなくなるので気をつけましょう。


摘芯
 そら豆は、暖かくなってくると葉茎の勢いが増して倒伏しやすくなってきますし、株間が小さいとお互いの葉茎が干渉しあうようになってきます。この為、株高が60〜70センチほどまで成長したら復葉を6枚ほど残して主茎を摘芯するようにしましょう。主茎は伸ばしていっても花は咲きますが実は食べれる程の大きさまで成長しませんし、主茎を摘芯する事により、より実の成りやすい枝が出てきます。また株元の腋芽は放っておくとどんどん増えてくるので(10〜15本ほど側枝が伸びてきます)摘芯して4〜5本となるようにします。株間がひろいようでしたら6〜7本でも構いませんがこの場合は4隅に支柱を立てて株を安定させることも検討してみて下さい。



収穫

 そら豆の収穫のタイミングは名前の由来である「空を向いていた豆のさや」がお辞儀をするように下がってきた時です。その頃になると今まで固かったさやがスポンジのように柔らかくなるとともに、さやの光沢が増し背筋が黒褐色になります。これらが確認できたら試しにさやをひとつ割ってみて中の豆のおはぐろが黒くなりだしていれば食べ頃です。
 そら豆は収穫後に急速に鮮度が落ちるので収穫は必要な分だけ行い、収穫後はすぐに焼いたり塩ゆでにしましょう。また手でもぎ取ろうとすると茎が折れてしまう事があるのでハサミでさやの付け根を切って収穫するようにしましょう。
 下の写真は収穫間近のそら豆。上の実はまだ上を向いていますが、下の実は下を向いてきていますので後1週間程度で食べ頃となります。
そら豆 収穫


病気・害虫


 そら豆は病気には比較的強い方ですが、環境が過湿気味ですとさび病赤色斑点病などが発生する事があるので畑の水はけには注意しましょう。
 また害虫についてはアブラムシが好んで集まりやすいほか、ハスモンヨトウ類も発生しやすいので暖かくなり害虫の被害や発生が確認できたら早め早めに駆除していきましょう。特にアブラムシは地域によってはうんざりするほどしつこく発生するので発生密度が高くなる前に薬剤による駆除も検討してみましょう。