スイカ
スイカはアフリカ中南部の砂漠地帯が原産とされ、現在流通しているものはアメリカや日本で品種改良を重ねたものです。とにかく暑さに強く日照り続き・水不足といった他の野菜が不作の年でも旺盛に成長してくれますが、逆に長雨が続く冷夏の年は病害虫の被害が多発しやすくなります。
蒸し暑い夏に食べる冷やしたスイカは格別ですが、スイカには糖質が多く含まれビタミンやカリウム、マグネシウム等も含まれていますので暑い夏の日の疲労回復にはもってこいの食品です。
スイカ栽培の難易度は少々高めとなっていますが、沢山の品種がありますから皆さんの栽培環境(スペース)にあわせて選ぶとよいでしょう。
スイカの栽培・育て方のコツ
・
連作障害(2〜3年)があります。やむを得ず連作する場合はユウガオ等を台木とした接ぎ木苗を購入するとよいでしょう。
・pH6.5〜6.5の弱酸性の土を好みます。
・花粉の寿命が短いので、晴れた日の午前9時頃までに人工授粉を行うと実が付きやすいです。
・高温乾燥を好み、特に猛暑の年は美味しい実が収穫できます。
・株間は1.2m以上とします。
スイカの栽培時期・年間スケジュール
スイカにおけるおおまかな年間スケジュール・栽培カレンダーは上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の気候や栽培する品種により栽培期間は多少前後します。
おおまかな目安として
発芽適温は25〜30℃。生育適温は昼間28〜30℃で夜間も15℃以上と他の野菜に比べ高温を好み、最低気温が13℃未満になると育成障害が発生してきます。
種取り栽培
スイカは乾燥を嫌い、細く長い根を張るので苗を植え替えるとダメージを受ける事があります。この為種から育てる場合は直接畑にじかまきします。種はポリマルチをしてから1カ所あたり3〜5粒ほど蒔き軽く覆土しホットキャップなどで保温して地温をあげ発芽を促します。ホットキャップはウリバエやタネバエの幼虫による食害を防ぐ効果もあります。
発芽して株が成長してきたら順次間引いて1カ所1株にします。
苗の植え付け
苗を購入して植え付ける場合、本葉が4〜5枚ほど付き葉色の濃いしっかりしたものを選び、十分に地温があがってから植え付けます。植え付け時は水をたっぷりと与え株周辺には敷き藁を敷いておきましょう。
植える場所はとにかく日当たりの良い場所を選ぶのが良いスイカを収穫するコツです。またスイカは水はけのよい砂質土を好み、粘性土の土の場合実が付かなくなる「
つるぼけ」や病気が発生しやすくなります。また苗を植えた後は種から育てる時と同様ホットキャップをかぶせ管理します。
※下の写真はホットキャップをかぶせたスイカの苗。
摘芯・追肥
本葉が6〜7枚ほどの頃に小づるを出す目的で、茎の先端を切ります。摘芯後子づるが伸びてくるので3〜4本仕立てにし、余計な子づるは摘み取ります。
結実させる花は2番果とし、1番果や3番果以降は摘花します。
また追肥は1番果が付いた時期を目処に株の根元まわりに施します。肥料は窒素分が多いと「つるぼけ」が発生しやすくなるので注意しましょう。
※スイカの摘芯方法は色々あるのですが本項では1番一般的とされる摘芯方法をご紹介しています。
受粉
花が咲き始めたら晴れた日の午前9時頃までに雄花を切り取り雌花に花粉を付け受粉させます。
スイカには雄花と雌花がありますが、雌花は花の付け根が膨らんでいるので区別できます。
基本的には人工授粉せずとも結実するとは思いますが、長雨や気温が低い日が続いた場合は人工授粉しておくと確実です。また人工授粉してからの日数を記録しておくと収穫の目安にもなります(受粉後35〜40日が収穫の目安)。
無事受粉して2番果が肥大してきたら畑一面に敷き藁を施しつる同士が絡み合わないように誘引します。また実の大きさに応じて実をひっくり返す「玉なおし」も行ってください。
収穫
受粉後35〜40日が経過し、暑さが盛りを迎える7月下旬から8月上旬にかけてが収穫の時期です。
実を軽く叩いてみて実が詰まっているかどうか確認してみてください。
収穫はスイカの付け根をハサミなどで切断して行います。
収穫量は品種にもよりますが1株あたり2〜4個、子づる1本につき1個がおおよその目安です。
スイカ栽培の難易度
スイカは他の野菜と比べ難易度の高い野菜といわれています。栽培するには広いスペースを必要とし適切な摘芯、時期、温度の管理も必要となります。
本項ではスイカの栽培において少しでも難易度を下げる育て方のコツをご紹介していきます。
苗から育てる
野菜を種から育ててみたいという気持ちは誰でもあるとは思いますが、スイカは発芽温度が25度以上と高いので地温を確保するのが難しい場合は苗から育てた方がよいでしょう。スイカの苗は接ぎ木苗が主流ですから連作障害が発生しにくく耐病性もあります。
冷夏・長雨
前述してあるとおりスイカは乾燥した高温状態を好みます。逆にいうと低温多湿状態は苦手で、俗に言う長雨が続く「冷夏」の年は疫病が発生しやすくなります。もし低温・長雨が続くようでしたら予防的にダイセンやダコニールといった薬剤を早めに散布しておくと安心です。
プランターでの栽培・育て方
スイカは細い根が深く伸びるので最低でも深さが30センチ以上あるプランターや鉢で育てるようにします。育てる品種は小玉の方がよいでしょう。