オクラ



オクラ 栽培 オクラは北東アフリカが原産とされるアオイ科の野菜でハイビスカスの仲間です。ヌメリがある独特の食感の実はタンパク質の消化吸収を助けるムチンやコレストロール値を下げるペクチンなどの他、多くのビタミンやミネラルが含まれている健康食品で、私たちの食卓でも日常的に登場する馴染みの深い野菜です。
 家庭菜園の現場では野菜の中ではもっとも美しいと言われる花を咲かせたり、順調に成長すると長い期間収穫を楽しむ事ができることから、もっとも人気のある野菜のひとつとなっています。




オクラ栽培の注意点・コツ

・熱帯性の植物なので種まきは気温が安定してから行います。また難易度は寒冷地ほど高くなります。

・弱酸性の土壌を好むのでpH調整は酸性土の高い土でない限りは行う必要はありません。

・暑さと共に勢いが増し、葉を茂らせていくので定植時の株間は50pと広めにとります。

連作障害が発生しますので2〜3年の栽培間隔をとるようにします。

・収穫が始まったら実から下の葉を摘葉するのが実を肥大させる大切なポイントです。

・ネコブセンチュウが増えやすいナス科やニンジン、ゴボウといった野菜とは相性が悪いといわれています。

・幼苗時は急激な環境の変化に弱いので、ポットからの植え替え時などには草勢が弱り枯れてしまうことがあります。この場合はすぐに見切りをつけ新しい苗を植え替えるようにしましょう。



オクラの栽培暦


オクラ 栽培暦

 オクラの栽培におけるおおまかな栽培暦は上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の気候や栽培する品種により時期は多少前後します。おおまかな目安として発芽適温・生育適温共に25〜30度で、地温が20度以上あれば発芽生育しますが温度が低くなるにつれ成長は鈍化し、10度以下になると完全に成長できなくなります。



土づくり・元肥

 オクラは特に土質は選びませんが収穫期間が長いので元肥はしっかりと施します。ただし肥料分が多すぎると草勢が強くなりすぎ良い実ができませんので、量は1uあたり堆肥3kg+化成肥料100g程度にします。土作り後はポリマルチを施し栽培初期の低温時でも地温が上がるようにしておくとオクラの生長が促されます。
 また弱酸性の土壌を好むので苦土石灰は酸性土の高い土でない限りは散布しません。



種まき

 オクラは北東アフリカ原産の熱帯性植物です。この為、寒さに弱く地温が20度以下では発芽しませんので、ポットに種を蒔き気温が安定した環境で発芽させるのが一般的です。適温を確保するのが難しい寒冷地では、ホームセンターなどから苗を購入するのも一案です。
 種まきはGWの頃に行い、種まき時オクラの種は固いので一晩水につけて発芽を促してからポットに2〜3粒毎蒔きます。
 本葉が2〜3枚ほどに生長したらそのまま間引きをせず50センチ間隔で畑に植え付けます。
 注:ただし極端に草勢の弱い株は間引きます。

 ポットで苗を育てる場合、前述してあるとおり幼苗時のオクラは環境の変化に弱く春先の急な低温や長雨などで苗が弱って枯れてしまうことがあるので苗は多めに育てておくとよいでしょう。
 一度葉が萎れ始めると1週間ほどかけて他の葉も萎れはじめやがて腐ってしまいます。対策としては温度管理に気をつける(低温にならないように)、水やりは多過ぎとならないようにするなどがありますが、なかなか難しい部分もありますので、一番の対策は「苗を多めに育てておく」これに尽きるとおもいます。下の写真はポットから植え替えたものの環境に馴染まず枯れていったオクラです。植えた当時は葉が4〜5枚ほどあったのですが1週間ほどで写真のような状態になってしまいました。こうなってしまった場合は新しい苗に植え替えましょう。





肥料・水やり

 開花が始まりましたら月2回程度、収穫が終わるまで化成肥料を1uあたり一握り施します。花は夏の終わりまで次々と咲き順次実を付けていくので肥料切れにならないように気を付けます。水やりは地植えの場合は特に留意する必要はありませんが、乾燥し過ぎると果実の肥大が悪くなりますので日照りが続いたら水やりをするようにしましょう。


収穫

オクラ 栽培 摘葉 種まきから約2ヶ月。6月下旬頃になると大きく黄色い花を咲かせはじめます。花は早朝に咲き夕方にはしぼんでしまいますが、3〜4日ほどすると5センチほどの「さや」ができていますので、これを朝の内に収穫します。おおよその目安としては実が人差し指ほどの大きさです。収穫が遅れるとさや種共にだんだん固くなりやがて変色してきますので気を付けましょう。なお「さや」はつぼみとよく似ていますので間違わないように気を付けて下さい。
 また開花まで間引きを行わないできましたが、最初の収穫が始まったら元気の良い株を1〜2株残し他は切り取ります。またさやより下に出ている葉も欠き取ります。
 摘葉をする事により日当たりや風通しが良くなり栄養も上部の実に直接届くようになります。
 ただし草勢が弱い場合はさやより下の葉でも3〜4枚残すようにします。



 オクラは病害虫に比較的強く虫もアブラムシがつく程度ですが、時折葉ダニが大発生する事があります。梅雨明けや夏の暑さが一段落する9月頃に発生しやすく、オクラを弱らせるばかりか病気の感染源にもなりますので見つけ次第除去します。
 また連作するとネコブセンチュウの被害が出ることもあります。ネコブセンチュウは1度発生すると被害が甚大となる為、連作は避け1度栽培したら2〜3年は期間をあけるようにします。
 ネコブセンチュウはナス科やニンジンゴボウといった野菜でも発生しやすいことから、オクラはこれらの野菜とは相性が悪いと言われています。


冬の栽培・収穫

 オクラは冬が訪れる温帯及び寒冷気候に属する日本では一年草として扱われていますが、実は熱帯地方では多年草として扱われています。ですからオクラが生育できる気温さえ確保できれば冬でも収穫することは可能なのです。ただし一般的な家庭菜園の環境では気温の確保(最低でも20度以上+十分な日照が必要です)が困難であることから冬も収穫を続けることは難しいのが現状です。



プランターでの栽培


 オクラは直根性の野菜で一般的にはプランターでの栽培は難しいとされていますが、プランターで栽培している愛園家の方もおられますし、筆者自身も実際にオクラをプランターで育て収穫を楽しんだ事もあります。ただし畑に植えた場合と比べ収穫量は若干減りますので、その点には留意してオクラ栽培を楽しんでみて下さい。
 なおプランターでオクラを栽培する場合、基本的には畑での栽培方法に準じますが、プランターはなるべく深いものを選び、水切れに注意して育てて下さい。



オクラ栽培の難易度・失敗例


 オクラは気温さえ確保できれば難易度の低い野菜といわれていますが、それでも油断していると栽培に失敗してしまうこともあるので、本項では主な失敗例や病気などについてご説明していきます。


病気

 オクラに発生しやすい病気としてはうどんこ病灰色かび病などがあります。これらの病気が発生すると実そのものも駄目になってしまうので、病状が確認できたら早急に薬剤散布等の処置を施します。
 うどんこ病や灰色かび病をはじめとした主な病気は低温・多湿時に発生しやすいので、このような気象環境が続いたときは予防的に薬剤を事前散布しておくのも効果があります。



成長しない

 オクラは成長力が旺盛で難易度の低い野菜です。にもかかわらず成長しない場合、その原因の多くは低温によるものと推測されています。オクラの栽培適温は20度以上で10度を下回ると成長が止まり株勢が弱い場合は枯れてしまうこともあります。
 オクラがなかなか成長しない場合、まず低温を疑い気温が十分な場合は病害虫の発生の有無、肥料切れや水切れ等を疑っていきましょう。
 なおオクラはネコブセンチュウが発生しやすい野菜です。ネコブセンチュウが発生すると成長阻害を引き起こしますが、地中で発生しますので発見しにくく肥料切れや水切れなどと勘違いしてしまうこともあります。ネコブセンチュウの発生を防ぐには連作をしないこと、ナス科やニンジンゴボウといったネコブセンチュウが発生しやすくオクラと相性が悪いとされる野菜などと一緒に栽培しないといった方法があります。この他マリーゴールドはネコブセンチュウを引き寄せ餓死させる効果があるといわれています。



固い

 実が固いのはズバリ「収穫時期の遅れ」が一番の原因に考えられます。病害虫が原因の場合もありますが、この場合は実の奇形、変色が伴うのですぐにわかります。
 前述してありますがオクラの収穫のタイミングは花がしぼんでから3〜4日後。大きさにして5センチ(人差し指ほどの大きさ)ほどです。収穫は朝に行うとより柔らかく美味しいといわれています。