家庭菜園計画
一言に家庭菜園といっても、ただ自分の作りたい野菜を庭の空いている所になんの計画も無しに植えてもなかなか上手くいくものではありません。
これは野菜にも種類によって個性があり、日当たりの良い場所を好む野菜があれば、日陰を好む野菜もありますし、お互いに相性のよい野菜があれば、相性の悪い野菜もあります。またなによりも一番気をつけなくてはならないのが「
連作障害」で、これは同じ属性の野菜を連作するとやがて成育障害が発生するものです。
これらの要素をなにも考慮せず、好き勝手に野菜を植えていっても、やがて頓挫してしまう可能性が大です。
この為、家庭菜園を行う際にはまず自分なりの菜園プランを策定し、記録を残し計画的に行っていく事が大切となってきます。
家庭菜園 初心者 計画
理想の家庭菜園計画とは連作障害が発生しないように自分の作りたい野菜を
輪作し、春まきと秋まきの野菜を効率よく組み合わせて沢山の種類の野菜をより多く収穫できるようにすることです。
連作障害については大切な事柄ですので別途「
連作障害」のページで詳細を説明していますが、多くの野菜は連作障害がなくなるまで3〜5年の期間を要しますので、通常は畑を4〜5区画にわけ、家庭菜園計画も足かけ4〜5年にわたる計画を策定するのが一般的です。
しかし家庭菜園をはじめたばかりのいわば初心者の方に、いきなり4〜5年先までの完璧な計画を作れといっても無理なお話です。大事なのは「自分は初心者だから」といって無計画で行うのではなく、初心者なりに計画をたて、家庭菜園の記録を残し(いつ、どこに、何を植えたか? そして結果は?等々)、その記録を元に計画も修正していくことです。大体2シーズンすぎればいくら初心者といえど自分の畑の特性や野菜との相性、栽培期間・時期などもわかり、より的確な家庭菜園計画をたてれるようになります。
初心者のうちはあれこれ悩みながら家庭菜園計画を練るのも楽しみのひとつです。面倒くさがらずに是非家庭菜園計画を考えてみて下さい。
家庭菜園における輪作・作付け・植え付け計画
作付けとは耕地に作物を植え付けること、輪作とは連作障害を避ける為に同じ場所に異なる種類のいくつかの野菜を何年かに1回のサイクルで育てていく方法です。輪作を取り入れた作付け計画はまさに家庭菜園計画の要なのですが、他にも菜園計画を考えるうえで考慮すべき項目はいくつかありますので以下にご紹介していきます。ただしこれらの項目全てをクリアーした菜園計画など色々制約をうける家庭菜園の環境ではなかなか困難ですし、ましてや初心者の方には難しいと思います。ですから一通り頭の片隅に置いておき、自らの菜園計画において改善できる点は、順に改善していくようにすれば余計なプレッシャーを感じることなく菜園計画を立てることができると思います。
日当たりの良し悪し
多くの野菜は日当たりを好みますが、その一方で強い日差しを嫌う野菜もあります。
ミツバや
ミョウガといった野菜です。ミツバやミョウガを普通の野菜と同じように日当たりのよい場所に植えるのは余り好ましいことではありません。また場所によってはどうしても日当たりの悪い場所もでてきます。そのような場所には多少日当たりが悪くても育つ前述したミツバやミョウガ、その他
ネギやハーブ類等を植えてみてはいかがでしょうか。
日当たりが悪くても育つ野菜
イチゴ、
ショウガ、春菊、
ネギ、
ニラ、小松菜、レタス、パクチョイ、ハーブ類、
キャベツ、
白菜、
里芋、
ほうれん草、
ミツバ
※本項に記してる「日当たりが悪くても育つ野菜」とはあくまでも文字通り多少日当たりが悪くても
なんとか育つという意味で、多くの野菜は日当たりの良い場所に比べると成長度合いは悪くなります。
コンパニオンプランツ
コンパニオンプランツとは野菜のもつ成分により、近くの野菜の味覚を向上させたり病害虫を寄せ付けないといった、よい効果をもたらすようにする野菜のことで、共栄植物とも呼ばれています。その一方でお互いにマイナスの影響を及ぼす野菜もありますので、互いが共栄できるような植え付け計画を策定する必要があります。
例えばネギは含まれている成分により病害虫対策に効果があり、スイカやメロンのそばに植えると良いとされていますが、豆類のそばに植えてしまうと豆類の成長を促進する
根粒菌に悪影響を及ぼす為、成長阻害を引き起こすことがあります。
このコンパニオンプランツの考え方については別途「
コンパニオンプランツ」のページで詳細をご紹介していますのでご参照下さい。
区割り・サイクル
前述してありますが家庭菜園における畑の区割りは4〜5区画に分けるのが一般的です。仮に4区画とした場合、春まきと秋まきを上手く組み合わせれば1シーズン中4区画×2で8種類の野菜を育てることができます。また3区画しか確保出来なかった場合は3年以内では連作障害の発生する野菜(トマトやナスなど)は植えない期間を最低でも1年設ける必要があります。これらの区割りやサイクルは言葉で説明するより、作付け表や作付け計画表にした方が分かりやすいので次項の「作付け表・作付け計画」の図を見てイメージしてみて下さい。
それでは具体的に家庭菜園計画における作付け表、作付け計画図を作ってみましょう。
条件として野菜を植えるスペースは4区画確保で共に日当たり良好。植えてみたい野菜は
トマト、
ナス、
キュウリ、
枝豆の王道コース。当然秋まきの野菜も育ててみたいと思います。
作付け計画図
作付け計画図は大体上記のようにしてみました(注:野菜の作付け・収穫時期はその地方の気候や野菜の品種によって異なってくるので、上記の作付け計画図はあくまでも参考程度に留めておいて下さい)。
考え方としては
ナスとトマトは共にナス科の野菜なので最低でも3年は休まないと連作障害が生じる恐れがあります。つまりトマト・キュウリ・ナス・枝豆と順番にローテーションさせてもトマトとナスの間は1年しか空いていません。ここを3年にしなければならないのですが、そうなると倍の8区画必要になってしまいます(トマト-1年目-2年目-3年目-ナス-1年目-2年目-3年目)。そこでトマトとナスは1年毎に交互に植えることとしました。そして空いた一区画にはナス科、ウリ科(キュウリ)、豆科(枝豆)以外の野菜を植えることとしました。
秋植えの野菜は
ほうれん草、
大根、
タマネギ、
ニンニクの4種類。共に連作障害の出にくい野菜ですが、こちらも念のため輪作します。タマネギやニンニクは地中の病害菌の活動を抑える効果がありますので輪作することにより、その効果を全ての区画で受けることが出来ます。
なお2年目の秋まきの左上のスペースは×印となっていますが、これはお休みの意味です。春に植える里芋は収穫までの期間が長く初霜が降りる頃にならないと収穫できません。さすがに秋まき野菜とはいえ初霜が降りてからでは植え付け時期が遅すぎるので、この年はお休みとしたのです。
このような家庭菜園計画における工程は下記のような作付け表にしてみると問題点が浮き彫りとなり分かりやすいです。
作付け計画表
上段の作付け計画図に基づき作付け表にしたのが下記です。作付け計画図における左上の区画を年単位の工程表にしてみました。作付け表は特に様式は決まってなく極端なはなし皆さんが理解できればそれでよく、その人によって様々だと思いますので、興味のある方はネットで探してみて下さい。
さて作付け計画表にしてみると色々な事が見えてきます。まず3年目ですが枝豆を収穫してから直ぐに大根を植えなくてはなりません。大根は多少土が痩せていても障害物さえなければ以外とよく育つものですから土作り期間を省いても大丈夫だとは思いますが、工程的に余裕がないのでここは念の為枝豆は
早生品種にして早めに収穫した方がよさそうです。4年目と5年目の間も問題です。ニンニクの収穫が6月までずれ込むのに対してトマトの植え付けは4月下旬には始まってしまいます。トマトは
ポットでギリギリまで育てニンニクを収穫後直ちに苗を植えるようにする必要があります。ですから多少苗が大きくなっても耐えられるような大きめのポットが必要ですし、場合によってはトマトもしくはニンニクを諦めるという選択肢もでてきます。それから上記作付け表には記載しておりませんが、ナスを収穫した後のホウレンソウも無理があります。通常ナスは9〜10月辺りまで収穫できるのでホウレンソウの作付け時期と重複してしまいます。ですからナスを植えた年はホウレンソウを諦めなければならないと思います。
ただし2〜3年もすると皆さんが住んでいる地域における各野菜の正確な成長サイクルも把握でき、実行可能な計画か無理な計画かも大体見えてきますし、もっと別の良案も出てくるかもしれません。いずれにせよ作付け表は経験を重ねる毎に改善を行い皆さんにとって、またその地域にとって最適なものに仕上げていくようにしましょう。