玉ねぎ



玉ねぎ 栽培 玉ねぎは西アジアが原産のユリ科の野菜です。食するのは茎の付け根の肥大して球状になった部分ですが、葉も食べることができます。採れたての玉ねぎは甘く柔らかいので生でも食べることができ、まさに家庭菜園ならではの味覚です。
 また玉ねぎに含まれる成分は動脈硬化予防や整腸作用があることで知られており、近年健康食品としても注目を集めています。



玉ねぎ栽培の注意点・コツ

連作障害は出にくいが、出来ることなら連作は避けた方が無難です。

・酸性には弱いので慎重な土壌管理が求められます(pH6.5〜7.0)

・冷涼な気候を好み、病害虫の被害も少ない野菜です。

・株間は15p、条間は20〜25p

・必ずその地域にあった品種を購入して下さい。

・病害虫予防効果があり、マメ科を除く多くの野菜でコンパニオンプランツとしての効果が期待できます。



栽培時期・期間


玉ねぎ 栽培 時期

 玉ねぎ栽培におけるおおまかな栽培時期・栽培暦は上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の気候により時期は多少前後します。
 おおまかな目安として玉ねぎの発芽適温は15度〜20度、生育適温が15度前後(25度以上になると生育不良となる)となっており、嫌光性種子です。



土作り・種まき

 土作りは種まきもしくは植え付けの4週間ほど前から取りかかりますが、元肥はリン酸成分を多めにし土壌酸性度も一般の野菜より1.0ほどph値を大きくします(pH6.5〜7.0)。おおよその目安としては毎年中和している畑の場合は1uあたり苦土石灰を100gほど蒔けば大体目標の値になると思いますが、石灰による土壌改良の詳細については別途「家庭菜園の土作り 石灰編」をご参照下さい。

タマネギ 植え付け 栽培 種まきはポットやまき床で苗を育ててから畑に植えるのが一般的です。夏も終わりに近づくと種苗店やホームセンターなどで苗が販売されますので、そちらを購入してもかまいません。
 苗が長さ20〜25p、茎の太さが6〜7mm程度まで育ったら畑に植え付けます。この時の注意点としては苗は前述してあるサイズ・大きさのものを選ぶようにします。苗が小さすぎると冬の寒さを越すことができませんし、逆に大きすぎると冬を越し暖かくなった時点で花芽(ねぎ坊主)ができて玉ねぎに栄養が行かず玉が小さくなったりしてしまいます。

 畑の畝は60pのベッド畝とし、株間は15p、条間は20〜25p。根が見えなくなる程度に植えます。この時ポリマルチをしておくと霜の影響を最小限におさえ、来年の収穫時期を早めることが期待できます。


肥料・追肥

 畑に植えた苗は霜対策として敷きわらを施し(ポリマルチをしている場合は根元に籾殻をしておく)、植え付け後25日と3月上旬に追肥を行います。


収穫

 年を越し、日中の日照時間が長くなってくると葉茎の肥大がはじまり、5〜6月となり気温が上昇してくると茎葉が倒れてきます。この茎葉が8割ほど倒れた(まだ葉に緑色が残っている時点)晴れた日に抜き取って収穫し、根は完全に除去し茎は10pほど残した状態で切断し半日ほど乾かします。
 収穫したらまず新玉ねぎの味を楽しんで見て下さい。余った玉ねぎは風通しのよい日陰に吊り下げておけば保存が可能です。
 

玉ねぎ栽培の失敗 例


 玉ねぎは初心者でも育てやすい失敗の少ない野菜のひとつですが、それでも相手は自然の植物。特に初心者の方の場合は思わぬ失敗を経験することも・・・・。本項では初心者の方がよく経験する失敗例とその対策についてご説明していきます。


玉ねぎが小さい・大きくならない

 玉ねぎ栽培で1番多く聞かれる失敗例が「玉ねぎが小さい、大きくならない」というものがあります。
 玉ねぎは肥料を好みますので元肥や追肥は必ず施し、特にリン酸分を多めとします。リン酸分が少ないと玉ねぎが小さいままで大きくなりません。
 よく「玉ねぎは根だから肥料はカリウム分を多くしなくてはならない」と思っている方を見かけますが、玉ねぎは茎葉が重なって球状になった球根(鱗茎)ですから、玉ねぎを肥大させるのに必要な肥料はリン酸成分となります。
 また追肥は2回行いますが、2回目の追肥、つまり止め肥は多肥・遅肥を避けるようにします。止め肥が多すぎたり時期が遅かったりすると、収穫後の貯蔵性が悪くなるばかりではなく、花芽ができてしまったり養分が花芽の方に行ってしまい、玉ねぎが肥大しなくなってしまいます。

 この他玉ねぎの肥大には日照時間が大きく影響しています。具体的な説明は省略しますが、玉ねぎの品種は土地の気候にあわせ、かつ日照時間が最も長くなる5〜6月にかけて肥大が完了するように品種改良されています。ですからその土地にあった品種を選ぶのは玉ねぎ栽培における大切な事柄であり、これを守らないと玉ねぎが小さいままで大きくならない場合があります。


水やり

 玉ねぎは根が浅いので乾燥に弱く、乾燥した状態が続くと玉ねぎが多くならずに小さいままとなってしまう場合があります。比較的面積の狭い家庭菜園の現場は面積の広い農地とは異なり、こまめな水やりや管理が可能です。この家庭菜園の利点をいかして水やりには十分注意し乾燥しないよう気をつけて下さい。


病害虫

 玉ねぎは病害虫に対しては比較的被害の少ない野菜ですが、未熟な堆肥を使用するとタネバエの被害が、まだ苗の時点ではネキリムシの被害が、過湿状態が続くとベと病がよく発生します。過去にこれらの病害虫が発生した前歴がある畑の場合は、事前に薬剤散布を行っておいた方が無難です。
 各病害虫に効果のある薬剤や天然成分由来の安全な薬剤については別途「家庭菜園講座 農薬編」をご参照下さい。

タマネギ ネキリムシ
※ネキリムシの食害にあったタマネギの幼苗。切断された苗の周りの土を掘り起こしたら案の定ネキリムシが姿を現しました。

プランター


 玉ねぎは標準的なプランターで栽培することができます。
 プランターで栽培する場合も基本的には露地栽培に準じますが、玉ねぎ栽培の場合は特に水切れに注意して育てて下さい。