大根(ダイコン)
ダイコンは地中海沿岸が原産とされるアブラナ科の根菜です。冷涼な気候を好み、ほぼ一年中栽培されている人気野菜です。春、夏、秋と3シーズン種まき時期がありますが、病害虫の発生が少ない秋まきが一番作りやすいといわれています。
ダイコン栽培の注意点・ポイント
・
連作障害は基本的には無いが、念のため大根を含めアブラナ科の野菜の連作は避けた方が無難です。
・酸性にはやや強い(pH5.5〜6.0)
・肥沃で日当たり・水はけの良い場所に植える
・株間は30p前後
・根菜なので畑は深く耕し石や固まりは取り除いておく
・ネギを一緒に植えると成長促進効果があるといわれています。
時期
大根栽培におけるおおまかな時期・スケジュールは上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の温度により時期は多少前後します。
おおまかな目安として大根の
発芽適温は15度(4度)〜30度(40度)、生育適温が17度〜20度となっています。
※括弧内の温度は限界温度
種まき
土作りの際には深めに耕し、深さ3〜4pの穴溝へ5〜6粒ごとに
点まきします(大根は嫌光性種子です)。この時ビール瓶の底を地面に押しつけると簡単に穴溝を掘ることができます。
本葉が1,2枚になった頃に1回目の間引きを行い、本葉が3,4枚に2回目の間引き、本葉5,6枚の頃に一本立ちさせます。最後の間引き時は土寄せも行い苗を安定させます(2回目の間引きは省略しても問題ありません)。
追肥・肥料
2回目の間引きから畝肩に追肥、土寄せを行っていきます。ただし品種によって異なる場合もあるので(例えば青首大根は土寄せをしない)種購入時の説明書きにしたがって下さい。
収穫
収穫までの期間は春・夏まきは種まき後40〜60日。秋まきは早生品種で50〜60日、遅くても90〜100日となっています。所定の日数前後となり、地上部の根が十分に肥大し(直径6〜7pがおおよその目安)葉が開いてきたら収穫時期です。秋まきの場合は初霜がひとつの目安となり、霜が降りるようになると「す」が入りやすくなり実も固くなるのでまだ根が小さくても収穫してしまった方が無難です。
よくある失敗
大根は比較的育てやすい野菜とはいえ、育て方を間違えると当然の事ながら失敗してしまいます。本項では大根栽培におけるよくある失敗例をご紹介していきます。
裂根・岐根
大根の根が伸びる真下に小石や土の塊、堆肥、肥料などがあり、それらに根が触れると大根は裂根・岐根してしまいます。対策としては土をよく耕し異物を除去することと、未完熟の元肥が株の真下にこないように全面散布とし十分発酵させた堆肥を使用する、もしくは堆肥を混ぜてから十分に期間をあけるとこなどがあげられます。
倒伏
幼苗の頃は根がしっかりと張っていないので、根元部分を土寄せししっかりと苗を安定させておかないと、倒伏して根が曲がったり成長阻害をおこしたりします。
病害虫
アブラムシは野菜にとってもっとも恐ろしい病気のひとつである
モザイク病を媒介しますので、早めの薬剤散布が必要です。またモザイク病が発生した場合は治療方法は無いので伝染を防ぐ為にその株は処分します。気温が高い時期は「
キスジノミハムシ」が発生しやすく、成虫は葉を幼虫は根を食害します。キスジノミハムシに対しては種まき時に
オルトラン粒剤を土に混ぜておくと効果が期待できます。
地際から腐る
軟腐病が発生したら畑の排水性を高め、もし連作していた場合はアブラナ科以外の野菜を植えるようにすると終息します。
ダイコンバーティシリウム黒点病
見た目は健全なのに包丁で切断してみると黒点が放射状に伸びている。これは「ダイコンバーティシリウム黒点病」というカビの一種で維管束に沿って外側から中心部に向け進行していきます。写真の大根はまだ症状が軽いので食べても問題はありませんが、症状が進行すると中心部まで真っ黒くなり廃棄せざるを得なくなります。外観からは罹患しているかどうか分からないのが悩ましい点で菌核は土中で10年近く生存するので、一度ダイコンバーティシリウム黒点病が発生した土では薬剤による土壌消毒を行うか、ダイコンバーティシリウム黒点病に耐性のある作物を植えるなどの対策が必要となります。
なお効果的な予防方法は連作を避けることで、もし発生した場合、発病した野菜は畑に放置せず直ちに処分するようにしましょう。