白菜



白菜 栽培 白菜は中国北部が原産とされるアブラナ科の野菜です。栄養分そのものはビタミンCを含んでいる以外は特筆する点はないのですが、味が淡泊で他の食材の邪魔をしないので、鍋物や漬物、炒め物と色々な料理に使用される便利な野菜です。寒さに強く冬でも収穫できることから冬のお野菜として畑の一画で育てておくと便利です。
 なお栽培の難易度は意外と高く、栽培時期をしっかりと守り、肥料切れや病害虫に注意しないと失敗してしまう少々手間のかかるお野菜です。


白菜 栽培の特徴・コツ

・霜に当ててから収穫を開始すると旨味が増します。

・寒さに強く、これから寒くなる時期に栽培する(秋まき)と失敗しにくいです。

・栽培時期をしっかりと把握し種を蒔く時期を逃さないようにしましょう。

・酸性土に弱いので苦土石灰による土壌改良はしっかりと行いましょう。

連作障害が発生しますので、アブラナ科の野菜を育てた後2〜3年空けてから育てるようにしましょう。

・株間は40〜45センチ前後



白菜の栽培暦・栽培時期


白菜 栽培暦 栽培時期

 白菜栽培におけるおおまかな栽培暦(栽培時期)は上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の気候や栽培する品種により栽培時期は多少前後します。おおまかな目安として発芽適温は20〜25度、成長初期は20度前後、球結する頃は15度前後であるのが望ましく、寒冷地では初夏にその他一般地域では夏の終わり頃に種を蒔き、晩秋から冬に収穫するのが一般的です。
 なお春まきでも栽培可能ですが、温度を調整する為のきめ細かな管理が必要なので家庭菜園にはあまり向いてないといわれています。



土づくり

 白菜は酸性土が苦手ですので苦土石灰を1uあたり2握りほど施し、深さ20センチ程度までよく耕します。その後元肥を施しベット畝をつくります。なお白菜は肥料切れをおこすと球結しないので元肥は十分に施します。



種まき・植え付け


種まき

 前述してあるとおり白菜の種は夏の盛りがすぎた頃に蒔きますが、地域によって適期が異なってきますので、種苗店に相談したり種袋に記載されている時期を確認するなどしておきましょう。種袋には種まきから収穫までの日数も記載されていると思いますので、そちらも参考にして種を蒔く正確な時期を把握しておきます。
 種は直まきでも構いませんが、暑さよけや病害虫の発生が心配な場合はポットまきにすると安心です。その一方で白菜は直播性の強い野菜といわれていますので直まきの方が品質の良い白菜が育つとされています。種を直まきにするかポットで育て移植するか、皆さんの畑がある地域の気候や害虫の発生頻度などをもとに検討してみて下さい。また白菜の種は発芽に光を必要とする「好光性種子」でから、土は軽く被せる程度にしましょう。なお直まきの場合は寒冷紗などをかけて害虫の侵入を防ぐようにしましょう。
 種はポット、直まき共に1箇所に5〜6粒とします。また幼苗の頃から防虫ネットのトンネルを設置しておくと強力な虫害対策となります。



間引き
 本葉が1〜2枚になったら間引きを開始します。間引きは3回ほどの分けて行い本葉4〜5枚まで育った頃には1箇所あたり1株にします。ポットの場合は本葉が3枚程度に成長した時点で2本立ちにして畑に植え付けるとよいでしょう。



追肥

 最後の間引きが終わった時点(1株となった時点)で追肥を行います。追肥は1株あたり化成肥料を1握りほどまき土寄せします。その後2週間おきを目処に球結するまで追肥をします。なお土寄せは根を傷める恐れがあるので1回目以降は行いません。



薬剤散布

 葉の枚数が増え、球結に向け芯の葉が巻きだして来る頃は病害虫の活動も活発になります。特にベト病白斑病などは発生し被害が広がると収穫は見込めなくなるので殺菌剤は予防的、定期的に散布しておきましょう。



白菜をしばる

白菜 栽培 しばる  11月の下旬頃、初霜が降りたら白菜をしばります。外葉で包み込むように丸め上の方をヒモなどでしばります。この時虫が中に入らないように気をつけます。白菜をしばる事により球結した部分を霜から守り収穫時期を延ばす事が期待できます。
 なお初霜が降りる前に白菜をしばるとしばった後にまだ活動中の虫が球結部の中に入り込む事があるので注意しましょう。



収穫

 収穫は種袋に記載されている収穫日数を目安に行いますが、おそらく12月に入ってからの事になると思います。白菜の頭部を押さえてみてしっかりとした感触が返ってきたら、しばっていたヒモをほどいて外側の葉を外した上で根元からナイフで切断し収穫します。
 収穫後はそのまま4〜5日ほど陰干したうえで新聞紙等に包んで冷暗所に置き凍らせないようにしておくと2ヶ月ほど保存できます。



白菜 栽培の失敗例


病害虫

 白菜は数多くある野菜の中でも比較的病害虫の被害を受けやすい野菜とといわれています。
 主な害虫としてはアブラナ科の野菜ですのでネキリムシコナガ、アオムシ等がありますが、植え付け間もない頃に発生すると大きな被害を及ぼしますし、また白菜が球結し肥大化していく時期がイモムシ類が発生する時期とちょうど重なりますので、数日間目を離したすきにイモムシが大量発生してしまうこともよくあります。イモムシ類は成長するとともに白菜の中心部へ移動していくので遠目ではその被害の甚大さは分かりにくく、収穫するときに何気なく葉をめくってみると内部に巨大なイモムシが陣取っていてやむなく廃棄処分したというのもよく聞くお話です。筆者の経験上これらイモムシ類の被害は薬剤の散布だけではなかなか防ぎにくく、防虫ネットとの併用で被害を防ぐようにしましょう。
 また水はけの悪い場所で栽培していると白菜が腐る軟腐病が発生する事があります。軟腐病は悪条件が重なっていると事前に薬剤を散布しても発生を抑える事ができません。対策としては連作を避け畑の水はけを良くするくらいしかありません。


白菜 栽培 失敗
※イモムシの食害にあった白菜。内部には人の小指ほどの大きさまで育ったイモムシが数匹潜んでいました。葉の表面に付着している茶色いものはイモムシの糞で白菜の内部も糞だらけで、ここまで食害が進むと人間が食するのは気持ち的にかなり難しいと思います。



球結しない

白菜 栽培 失敗 白菜は気温が一定の温度まで下がると「花芽」が分化します。これを花芽分化といいますが、花芽分化が始まると葉茎の生長は止まってしまい、栄養を蓄え次シーズンの開花に備えるようになります。つまり花芽分化が始まる温度に低下するまでに十分に球結してないと、以降の成長は見込めないというわけです。花芽分化は一般的に10月下旬から11月上旬にかけて、最低気温10度以下の日が10日以上つづくと始まりますので、それまでに十分球結するように、正確な種まきの時期を把握し肥料も肥料切れをおこさないようにこまめに施すようにしましょう。