ネギ(葱)



ネギ 栽培 家庭菜園 中国北西部が原産とされるネギ。日本各地に特産品種があり我々日本人にもっとも親しまれている野菜のひとつです。品種は大きく分けて白い葉鞘を太く長くつくる「根深ネギ」と細く育てて葉を食べる「葉ネギ」とにわけられますが、本項では根深ネギを中心にその栽培方法についてご説明していきます。


ネギ 栽培の注意点・コツ

・追肥と土寄せを行いじっくり育てるのが良いネギを育てるポイントです。

・葉ネギは必要な量だけその都度葉を切り取り収穫することで長く楽しめます。

・株間は10pほど溝間は90pほどとします。

・酸性土を嫌うので苦土石灰による中和作業はしっかりと行う

・植え付け時は深い溝を掘る(約20p)

・雑草に弱く、病害虫も意外と発生しやすいのでこまめに監視・防除する

コンパニオンプランツによく利用されますが、マメ類とは相性が悪いです。

・2年越しのネギも葱坊主を切断し植え直すと新たな株が伸び始めます(古い株は枯れてしまいます)。


ネギの栽培方法・時期


ネギの栽培 時期

 ネギの栽培におけるおおまかな栽培暦・カレンダーは上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の気候や育てるネギの品種により時期は多少前後します。おおまかな目安としてネギの発芽適温は18〜22度、生育適温は10〜20度で最適気温は15度前後とされています。暑さに弱く気温が30度を超すと成長が鈍化します。また寒さには強く-8度前後まで耐えますが成長は止まります。



種まき

 一般的に種は春蒔きとし4月頃に苗床に1pに一粒のすじ蒔きします。本葉が2〜3枚ほどとなったら2p間隔に間引きし植え付けに備えます。また寒冷地で種まきから栽培する為にはハウス栽培等で発芽適温を確保する必要があるので苗を購入した方が無難です。ネギの苗は非常に丈夫で根元部分を濡れた新聞紙などでくるんでおくだけで1ヶ月以上も持ちます。
 なお温暖地では秋蒔きとする場合もあります。



植え替え

ネギ 栽培 植え替え  苗が20〜30pほどに成長したら、あらかじめ苦土石灰を蒔いて中和しておいた畑に植えます。植え付け時は東西に深さ20pの溝を掘り、溝の北側に苗を立てかけ軽く土をかけ安定させてから化成肥料をまき、敷きわらもしくは堆肥を厚くしきます。この時の株間は10pほど、また溝間は90pほど。
 ネギの根は横に広がって伸びるうえに、植え付けは20pほど掘り下げた場所に植えますので、よほど痩せている土地でないかぎりは土作りの際の元肥は不要です(上記理由によりあまり効果がありません)その代わり栽培中の追肥はこまめにおこないます。またネギの根は空気を好みますので植え付け後根元にかぶせるのは土ではなく下の写真のように通気性の良い藁や十分に分解された堆肥が理想です。
ネギ 植え付け


 
葉ネギ
 葉ネギは溝を深く掘る必要はなく、苗を2〜3本ほどまとめて15〜20p間隔で植え付けます。



肥料・土寄せ(夏 の作業)

ネギ 土寄せ  植え付け40日前後になるとネギも成長してきますので、化成肥料を施し葉の分岐点が埋まらない程度まで土寄せします。この土寄せ・追肥の作業は2〜5週間おきにネギの成長具合を見ながら行い、最終的には盛り上がった畝のような形にし、収穫の1ヶ月前を目処に終了するようにします。
 こまめに土寄せを行う事により古い葉が枯れ、新しい葉に更新され病害虫の予防対策になりますし、軟白の部分がきれいに太く仕上がります。



葉ネギ
 葉ネギは長く収穫を楽しむ為に肥料は2週間おきに行います。また土寄せは1回だけ倒伏ないように土をよせるだけであとは大丈夫です。



とう立ち
ネギ とう立ち とう立ちとは花芽ができる現象で、ネギの場合植え付け後一定期間低温にあたると幼苗の状態でとう立ちする事があります。とう立ちしてしまうと葉茎が固くなり食味が落ちてしまい、最悪の場合株が疲労して枯れてしまいますので、とう立ちしたネギは根元部分を残して切断します。
 ネギは生命力が強いので根元が残っていれば再び葉を伸ばし食べるのに適した柔らかい葉茎が再生されていきます。



水やり

 ネギは乾燥に強く、湿気に弱いので地植えの場合よほどのことが無いかぎり水やりは不要です。晴れの日が続き葉が萎れてくるようであれば水を与えてください。



収穫

家庭菜園 ネギ 収穫 最後の土寄せから30〜40日後、大体初霜の声が聞こえてくる辺りを目処に畝の端から収穫していきます。ネギは寒さに強いので、必要な分のみ収穫し畑に残して保存することができますが、春になりとう立ちすると成長がとまり味覚も劣化するので収穫終了となります。収穫時に力ませに引き抜くと途中でちぎれてしまうことがあるので、寄せた土を取り除いたうえで株を持って垂直に引き抜きます。


葉ネギ
 夏も終わりに近づく9月中旬頃から、大きなものから収穫していきます。この時根元部分を残しておくと再び収穫できるようになります。


病気・害虫


 注意すべきネギの病気としてはベト病黒斑病などがありますが、いずれも水はけの悪い畑で多く発生する傾向にあるようです。
 またアブラムシネギコガナメクジといった害虫も発生しやすく早めの薬剤散布で防除します。なおネギの表面は薬剤を弾き付きにくいので使用時は必ず展着剤を混ぜるようにして下さい。



ペットボトル・プランター


 葉ネギはペットボトルやプランターでも育てることができます。特にペットボトルを半分ほどに切断したものを容器として台所などで育てると料理の際非常に便利です。前述してあるとおりネギは非常に丈夫な野菜なので根っ子の部分がしっかりしていれば一度収穫しても再び葉が伸びてきます。葉ネギは根深ネギより栄養分が多く、寒さに強く多少の日陰でも育つのでペットボトルなどを用いて室内で栽培するには最も適した野菜の1つなのかもしれません。
 一方で根深ネギは根っ子を20p以上地中分に埋める必要があるのでペットボトルやプランターでの栽培は少々難しいですが、白い葉鞘にこだわらないのであれば育てる事は可能です。


根っ子(根元)から育ててみる


 本ページでは何度かご説明しておりますが、ネギは非常に丈夫な野菜で根っ子(根元)の部分がしっかりしていれば再び成長し始めます。ネギにとって根っ子の部分は活力の源なのです。ですからスーパー等で購入した葉ネギも根っ子の部分を取っておいて半分に切断したペットボトル等に入れて水を与えると再び葉を伸ばし始めます。もちろん水のみでは栄養不足でやがて萎れてしまいますが、液体肥料を与えたりちゃんとした土に植えてやると立派に葉を伸ばしてくれ再び葉ネギを楽しむ事ができるのです。もちろん根深ネギも成長してくれますが、立派な根深ネギに成長するまで長い期間を要しますのであまり現実的ではありません。