ニラ
ニラは非常に育てやすい多年草で、栄養価の高い万能野菜。連作障害も出にくいので畑の片隅で育てておくとなにかと便利な野菜です。非常に生命力が強いので場所を選ばず育てることができ、収穫後(刈り取り後)の再生も速く年間を通じて複数回収穫することが可能です。
本ページではこのニラの栽培・育て方について詳しくご紹介していきますが、正直なところニラは庭の片隅に種をパラパラ蒔いただけでも芽をだし勝手に増えていくほど育てるのが簡単な野菜です。近年耕作放棄地の増加が社会問題となっていますが、放棄された畑でもニラだけは増え続け、秋口に白い花を咲かせている光景はよく見かけます。ただしこの場合は食感が固く葉も細いので食べるには適しません。
ニラ 栽培の注意点・コツ
・
連作障害は無いとされていますが、できれば1〜2年空けた方が無難です。
・根が浅く張るので過湿や乾燥は苦手な野菜です。
・株間は20〜25p
・多少 日当たりの悪い日陰でも元気に育ちます。
・花茎が出たら早めに摘み取り苗の弱るのを防ぎます。
栽培 時期・栽培暦
ニラの栽培におけるおおまかな時期・栽培暦は上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の温度により時期は多少前後します。
おおまかな目安として
20度前後で発芽し、生育適温は20〜25度となっています。5度以下30度以上で生育が止まり地上部が枯れ始めますが、地中部分は生きており、適温になると再び葉を伸ばし始めます。
種まき
ニラは株分けしたものを植えて増やしてくのが一番簡単で確実な方法ですが、種から育てる場合は3月下旬から4月上旬に箱蒔きし保温しながら育てます。種は水に1昼夜漬けた後、陰干しして水気をとってから植えると発芽しやすいです。撒き方は
すじ蒔きとし間隔は10pほどで、覆土は5mmほどにし乾燥しないように新聞紙などをかぶせておくと10〜15日ほどで発芽しますので3ヶ月ほど育てたら苗を畑に植え付けます。植え付け時の大まかな目安としては苗の状態が分げつ2〜3本、葉数4〜5枚、草丈25cmほどとなるタイミングです。
植え付け
植え付けは5月下旬から7月までの間に行い、事前に1uあたり100g〜150gの苦土石灰を施し(酸性に弱く、理想のpH値は6.0〜6.5となっています)、堆肥を蒔いて
土作りを済ませておきます。苗は葉の色が濃く枯れた葉の少ないものを選び、1ヶ所に4〜6本まとめて植え株間は20〜25pとします。また植え付け時には水をたっぷりと与えておくと根付きが早まります。
追肥・土寄せ
苗の植え付け後、2週間もすると大きく成長してきますので、追肥をし軽く土寄せしておきます。その後は収穫後を目処に追肥を行います。肥料分が不足すると生育も遅れるため、かたく筋っぽいニラとなります。食べたときに固いと感じたら肥料の量を少しずつ増やしてみましょう。
収穫
夏を越すと一年目の苗でも大分体力を付けていますので収穫が可能となります(ただし植え付け2年目から収穫した方が株は元気に大きく育ちます)。収穫は新葉が20pほどに成長した株を根元から包丁などで刈り取って行いますが、宿根性の野菜なので根は絶対に堀り起こさないで下さい。根を残しておけば収穫後も数週間もすれば再び葉が生い茂り収穫することができます。大まかな目安としては年4,5回収穫することが可能です(プロの農家の方は品質を確保する為、収穫を年1,2回としている方が多いです)。
2年目以降は春先から収穫すことができますが、葉の勢いが弱まってきたら追肥をしたり、掘り起こして株分けするなどして下さい。株分けの大まかな目処は3〜4年です。また夏が過ぎた頃に収穫を控え、株を休ませ来年に向けて体力を蓄えさせると来年元気に葉を茂らせてくれます。
なお秋口には白いきれいな花を咲かせますが、花が咲くとそちらの方に体力を消耗してしまうので株が弱ってしまいます。花茎が出たら早めに刈り取るようにしましょう。
株分け
株分けは植え付け3年目を目処に行います。こうして株を新しく更新することで、元気で美味しいニラを収穫し続けることが可能となります。下の写真は春先に掘り起こしたニラです。もともとは一株だけでしたが2、3年と年を経るごとにご覧のように株が増えていきます。
冬
冬や夏といった暑さ寒さが厳しい時期になると、ニラは休眠状態となり地上部は枯れたようになってしまいますが、根の部分は生きており、季節が変わると再び元気に葉を茂らせます。
ベランダーやプランター、室内での栽培
ニラは標準的なプランターで栽培することができます。育て方は露地栽培に準じますが乾燥には特に注意し土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにします。
難易度・失敗 事例
ニラの栽培における主な失敗事例として「葉が大きくならない。食べても固い」というものがあります。この原因は単純明快で栄養分が不足しているので成長が遅く、葉が固くなったり大きくならないのです。対策としては日当たりの良い場所に植え替えてみる、追肥の量を増やす、収穫回数を減らす、株分けをするといった方法があります。
病気・害虫
ニラは病害虫には比較的強い野菜ですが、
アブラムシと
ネダニには注意が必要です。また過湿状態が続くと
ベと病や
さび病が発生することがあります。特にアブラムシやさび病はネギ属の野菜は互いに罹患し被害を拡大しやすいので、近くにネギ類の野菜を植えている時はニラだけではなく畑全体を俯瞰的に監視するように心がけて下さい。