ほうれん草
西アジアが原産とされる
ほうれん草。栄養価が高く鉄分やビタミンが豊富なことで知られており、日本でも昔から栽培され、江戸時代の頃には高級野菜として取り扱われていました。
冷涼な気候を好み、25度以上の暑さには耐えられない為、栽培期間が夏と重ならないように栽培されます。また品種は日本種と西洋種がありますが、一般的に日本固有種の方が美味しく、西洋種は病害虫に強く育てやすいといわれていますが、私たちが現在入手するほとんどの種は日本種と西洋種の交雑種となっています。
ほうれん草 栽培の注意点・コツ
・酸性土を嫌うので苦土石灰による中和作業はしっかりと行う
・春まきはとう立ちしやすいので秋まきの方が簡単です。
・種まきから発芽までが1番失敗しやすい期間です
・肥料はさほど必要とせず、有機質肥料が多いと逆に病害虫が発生しやすくなります。
・エンドウやインゲンといったつる性のマメ科植物と相性がよく互いに成長を促進するといわれています。
ほうれん草の栽培暦
ほうれん草の栽培におけるおおまかな栽培暦は上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の気候や育てるほうれん草の品種により時期は多少前後します。おおまかな目安としてほうれん草の
発芽適温は15〜20度、生育適温も15〜20度で最高気温が25度を越す環境には耐えられません。
種まき・種まき時期
ほうれん草の種まきは春まき、夏まき、秋まきの3つの時期がありますが、春まきは日が長いのでとう立ちしやすく、夏まきは気温が高い為、発芽しにくいといった難点があり、時期的には秋まきが1番育てやすいといわれています。
ほうれん草の種まきは10〜15p間隔ですじ蒔きとし、薄く覆土をし水をたっぷりと与え芽が出るまで乾燥させないようにします。場合によっては下の写真のように
寒冷紗や敷きわらを施し乾燥対策をしましょう。夏の時期に種をまく場合は一晩水に浸けた後、布の上等に広げ涼しいところに置き、あらかじめ芽出しをしておきます(注:最近の種子は水に浸ける作業が不要のものもありますのでお買い求めの種の説明書きにしたがって下さい)。
種まき後は本葉が1〜2枚、3〜4枚の頃にそれぞれ間引きし株間が10pとなるようにします。
夏
前段でもご説明しておりますが、ほうれん草は暑さに弱い野菜です。ですから春まきの場合は暑さが本番となる6月末までに収穫するようにし、秋まきも暑さが一段落した9月頃を目処に行うようにします。また夏に種を蒔く場合は前述してあるとおり芽出し作業を行ってから畑に植えるようにすると失敗が少ないです。
秋まき・秋
ほうれん草は秋まきが1番育てやすいといわれています。その理由は本ページで何度も申し上げているように「ほうれん草は暑さに弱いから」です。日数を重ねる毎に気温が低くなる秋はほうれん草の栽培に最も適しているといえます。仮に霜が降りたり雪がふっても通常の野菜とは異なり枯れてしまう事がなく、長い期間に渡って収穫を楽しめますし、寒さにあたることで糖度がアップし味が良くなる傾向にあります。なおほうれん草は日中の日の長さを感じ取り成長し、春まき用の種は春の日照時間に、秋まき用の種は秋の日照時間に適するように品種改良がなされています。この為、春まき用の種を秋にまいても失敗する事が多いので種を蒔く時期にあった品種を選ぶようにして下さい。
冬
寒さに強いほうれん草は気温が0度でも成長し冬の間も収穫することができます。とはいえやはり寒さ対策を施した方が収穫量がアップする傾向にあるので、霜が降りはじめたら北側に風よけの「
よしず」のようなものを立てたり場合によっては寒冷紗で覆ってしまうとよいでしょう。なおほうれん草には秋まきでじっくりと生育させ真冬に収穫する品種もありますので、冬に糖分が多く含まれる甘いほうれん草を収穫してみたい方はこのような品種を選ぶとよいでしょう。
肥料
ほうれん草は酸性土壌、リン酸不足、有機質不足の畑では生育不良となります。この為、
土作り時の中和作業は丁寧に行い、元肥はリン酸肥料を中心に施しておきます。なお未完熟な有機質肥料を施すと病害虫が発生し被害を受けることもありますので注意して下さい。
追肥は2回目の間引き後、株間が10pとなりいよいよこれから葉を伸ばしていくタイミングで化成肥料もしくは
草木灰を少量まき中耕・土寄せをしておきます。
収穫
草の丈が20p以上となり葉が5〜6枚ほどになったらいよいよ収穫です。全体的にみて葉が混み合っているところから、大きくなった株を間引くような感覚で収穫していきます。収穫は根の付け根部分をハサミなどで切断し採ります。なお春まきの場合は夏になると極端に品質が低下しますので暑くなる前に収穫を済ませてしまいましょう。
プランター・水耕栽培
ほうれん草はプランターや水耕栽培でも栽培可能です。特に水耕栽培では最も育てやすい手頃な野菜のひとつですので、興味がありましたら是非チャレンジしてみて下さい。
失敗例
本項ではほうれん草栽培における失敗例・注意すべき点についていくつかご紹介していきます。
連作
野菜栽培においてよく聞く失敗例が「
連作障害」ですが、ほうれん草は連作障害が出にくい野菜として知られています。とはいえあくまでも
連作障害が出にくいというだけですので、1〜2年は空け連作を避けるようにした方が無難です。
細い・育たない
ほうれん草の生育不良はその品質・品種よりも畑の土に原因のある場合がほとんどです。具体的には中和不足により土が酸性となっている。リン酸肥料が足りない、土が砂質土で有機質成分が少ないといった事などが挙げられます。前回ほうれん草を栽培し葉が細かったり十分に育たなかった場合はもう一度土作りから見直してみて下さい。なおほうれん草は暑さに弱いので、気温が25度を超すようになると成長できませんので、季節が夏へと進んだ時点で葉が細かったり、株が十分の育ってなかった場合でもそれ以上の成長は期待できません。
発芽しない
ほうれん草の発芽には十分な水分が必要です。ですから発芽して芽が出るまでは乾燥させないように、種まき後は寒冷紗や敷きわらをすると発芽しやすくなります。また夏まきの場合は気温の高さが原因で発芽しない場合がありますので、前述してありますが一晩水に浸けた後、布の上等に広げ涼しいところに置きあらかじめ芽出し作業をして下さい(注:最近の種子は水に浸ける作業が不要のものもありますのでお買い求めの種の説明書きにしたがって下さい)。