里芋(サトイモ)
里芋は東南アジアが原産とされる独特のぬめりと食感が人気のイモで、有名な山形県の芋煮会に使用されているイモも里芋です。比較的湿り気の多い、どちらかというとジメジメした感じの場所の方が良く育ち高温多湿を好みます。栽培期間が長い割には育て方自体はさほど難しくなく、乾燥に気をつければ初めての方でもなんとか収穫までこぎ着ける手間いらずの野菜です。
里芋 栽培の注意点・コツ
・
連作障害が非常にでやすい野菜です。連作を避け4〜5年はあけるようにしましょう。
・適切な追肥・水やりが収穫量を増やすコツです
・株間は30〜40p、深さ6〜10cmを目安に植える。
・栽培期間が長いので事前に栽培計画を立てておいた方がスムーズに育てられます。
栽培 時期・栽培暦
里芋の栽培におけるおおまかな時期・栽培暦は上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の温度により時期は多少前後します。
おおまかな目安として里芋は
14度以上で発芽・発根し(適温は25〜30度)、生育適温は25〜30度となっています。また35度以上や15度以下で株は衰弱し枯死することもあります。
芽出し
里芋は発芽までに日数のかかる野菜です(平均して1ヶ月ほどかかります)。この為種芋を購入するさいは、種苗店などで芽出しイモを購入するのが理想ですが、芽出しされていない種芋の場合は植え付けの1ヶ月ほど前から、土をいれた容器に種芋を植え、ビニールを被せるなど保温対策を施し本葉が2〜3枚ほどに生長するまで育てます。
下の写真は芽出し作業を行い2週間ほどした状態のもの。頂部に緑色の芽が出ているのがわかります。 一番右側の種イモは頂部にカビが生えて傷んでしまったのですが、傷んだ部分を避けて脇から芽が出てきています。
植え付け時期
里芋の植え付けの大まかな目安は桜前線です。皆さんが住む地域の桜前線にあわせて植え付けができるように畑の土作りを行っておきましょう。なお事前に芽出し作業を行っている場合は十分に地温が上昇する5月中旬から下旬にかけてが植え付け時期となります。
写真は1ヶ月ほど芽出し作業を行った里芋を掘り起こしたものですがすでに根も伸ばしています。このような状態にまでなっていれば安心で後はグングンと育ってくれます。
植え方
葉が大きい割には根が浅く張るので乾燥・倒伏などしなように種芋の丸い方を上にして(
初めての方はよく間違えて尖った方を上にしてしまうことがよくあるので注意して下さい)、最低でも5〜6pは土を被せるように植えます。石灰は植え付けの2〜3週間前までに1u当たり、苦土石灰100gほどを散布しますが、比較的酸性土壌を好む野菜なので石灰の蒔きすぎには注意して下さい。
肥料・土寄せ
元肥は植え付けの1〜2週間程前に、畝全体に施し、さらに堆肥を穴底に施します。この穴底に施す堆肥は直接種芋に接しないように間土を入れた、そのうえで種芋を植え付けます。追肥は月1回のペースで1uあたり一握りの化成肥料を施します。追肥の際に中耕、土寄せも忘れずに行って下さい。
土寄せは草丈が30cm程度になったら1回目の土寄せを行ない、この時の目安は5cm程度。その後、夏が過ぎるまで1ヶ月毎に10cm程度土寄せを行ないます。
マルチ栽培
里芋は夜間の温度が高いと小芋の付きが早くなり大きく育ちますし、植え付け時も地温が高い方が発芽が早まります。この為、地温を上昇させる
マルチ栽培は里芋栽培における有効な育て方です。ポリマルチもしくは稲わらによるマルチ栽培は是非とも検討してみて下さい。里芋は乾燥に弱いので乾燥対策にもなります。
理想のマルチ栽培としては芽出しから梅雨明けまでは保温を目的としたポリマルチを、その後ポリマルチははずし夏の高温乾燥に備えて稲わらを敷くというように、目的にあわせて使い分けることです。また稲わらの入手が困難な場合は除草した草でも代用可能です。
収穫
軽く霜に一度あたる頃に地上部を地際で切り取り、イモを掘り出します。うまく育てば1つの株から10〜15個ほど収穫できます。収穫は晴天の日を選んで堀上げ、イモを一つずつ外し泥付きのまま、風通しの良い場所で陰干しします。
来年の種芋として保存する場合は、排水の良い地中で貯蔵します。適度な湿り気と12〜15度前後の安定した温度がポイントですが、家庭菜園の環境では難しく失敗することも多々あります。なお農業の現場では温度と湿度が管理された専用の貯蔵庫で保管していることがおおいです。
里芋の種類・親芋 種芋
里芋には小芋用、親芋用、親子兼用の3種類があり、主な種類・品種としては石川早生、土垂れ、豊後(小芋用)、ヤツガシラ、赤芽大吉(セレベス)、唐芋(親芋用)、ウーハン(親子兼用)等があります。
失敗 事例
里芋は比較的育てやすい野菜ですが小芋が種芋の上にできる為、小芋が日光に当たらないよう土寄せする作業が重要になってきます。この土寄せ作業を怠ると小さなイモしかできなかったり、日光に当たった部分が緑色となり味にえぐみが出てしまったりします。
また病害虫にも強い野菜ですが、大食漢の
セスジスズメや
ハスモンヨトウには注意が必要です。卵から孵化した幼虫があっという間に大きく成長しプロの農家の方でも手痛い被害を被ることがある手強い連中です。
プランターでの育て方
里芋はプランターでも栽培することが可能です。育て方は露地栽培に準じますが、プランターが小さいとイモの生育を阻害し秋の収穫に影響を及ぼすこともありますので、なるべく大きめのプランターを用意しましょう。深さは最低でも30p以上のものが必要となります。