じゃがいも



ジャガイモ じゃがいも 栽培 じゃがいもは南米アンデス地方の高地が原産とされる冷涼な気候を好むナス科の野菜です。デンプンが主成分で他にビタミンBやC、カリウム等も豊富に含んでいます。じゃがいもは半陰性植物(1日のうち3〜4時間日が当たる場所を好む植物)で多少の日陰があっても大丈夫なうえに、栽培期間が短く失敗も少なく収穫量も多いので、家庭菜園では人気の定番野菜のひとつとなっています。



じゃがいも栽培の注意点・コツ

・種芋は種苗店で種芋専用のものを購入する。食用のものは病害の発生が多いうえに、芽が出ないように処理されている場合もあるので使用には不向きです。

・弱酸性の土壌を好むのでpH調整は酸性度の高い土でない限りは行う必要はありません。

連作障害が発生する場合があるので2〜3年の栽培間隔をとるようにしましょう。

・種イモの植え付けは30p間隔で覆土は7〜8p程度とする

・こまめに土寄せするのが収穫量を増やすコツです。



じゃがいもの栽培暦


じゃがいも ジャガイモ 栽培 カレンダー 暦

 じゃがいもの栽培におけるおおまかな栽培暦は上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の気候や栽培する品種により時期は多少前後します。おおまかな目安として5〜6度で発芽し、生育適温は15〜20度。比較的冷涼な気温を好み30度を超すと芋は肥大しなくなります。なおじゃがいもには春植えと秋植えがありますが冷涼な気候を好む為、基本的には真夏を避けた栽培となり地域によって適した時期が異なりますので、お住まいの地域の種苗店に相談してみて下さい。一般的には病害虫の少ない春植えの方が育てやすいといわれており、関東以北では春植え、中国、四国、九州地方では秋植えが適しているとされています。


土づくり(肥料・ph)

じゃがいも ジャガイモ 栽培 肥料  前述してあるとおりじゃがいもは弱酸性の土壌を好むので(適したph値はph5.0〜5.5)苦土石灰は酸性度の高い土でない限りは散布しません。畝幅は70p程としその畝に幅30p、深さ20pほどのまき溝を作ります。まき溝に元肥として堆肥及び化成肥料を厚さ5センチほど施します。


種イモの準備・植え付け

じゃがいも 栽培  種イモは事前に購入しておき、20日ほど前から昼間は日当たりの良い場所に置き芽出し作業を行います。この時気温の低い夜間もそのまま窓際に置いておくと霜に当たって種イモが傷んでしまう事があるので気を付けて下さい。
 芽出ししたら種イモを植えやすいように分割します。分割の目安は芽が平均して2つほど付くようにしたうえで30〜40gにし、芽が沢山ある方を上、へこんだへそ(ストロンと呼ばれる地下茎の跡)がある方を下に縦に切るようにします。また切り口には病原菌が入り込まないように草木灰をつけておきます。
 植え付けは霜が降りなくなったらなるべく早めに行い(目安としては平均気温10度前後)、芽が上になるようにし30p間隔で覆土は7〜8p程度とします。後述してありますが、ジャガイモは種イモより上に新イモができるので、そのことをイメージして種イモは深めに植えてください。
 植え付け後は軽く踏みつけて地面を固めておきます。


注:下の写真は種イモを縦に切断し市販の草木灰をつけたものです。赤い丸で囲まれた部分がストロンです。

じゃがいも 栽培 芽出し



追肥・土寄せ

じゃがいも ジャガイモ 栽培 土寄せ 植え付け後、1つの種イモから複数の芽がでてきますので、10pほどになったら元気なもの2本ほど残し、芽欠きをし1回目の土寄せを行います。芽欠きは大雑把に行うと種イモごと抜けてしまう場合があるので、引き抜く芽の根元をしっかりと押さえたうえで丁寧に根元から抜き取ります。芽欠きが済んだら2週間後を目処に株間に追肥を行います。2回目からの追肥は株間ではなく畝の端に施すようにします。
 追肥が済んだら今度は土寄せです。じゃがいもは種イモよりも上に新イモができるので土寄せは大切な作業となります。土寄せを行う事により新イモの質を良くするともにイモの露出を防ぎ病害虫からも新イモを守ることができます。なお土寄せは一度に行うのではなく、2回ほどに分けて少しずつ行うようにします。一度に行うとじゃがいもそのものの成長を阻害してしまいます。おおよその目安としては芽欠き時に5センチほど、その後20日ほど経過してから15センチほど土寄せします。
ジャガイモ 栽培 収穫
上の写真を見ると種イモの上に小さな新ジャガが付いているのが分かります。



開花・収穫

ジャガイモ 栽培 収穫  大いに成長し花を咲かせた後、半月ほどすると葉が下の方から枯れてきます。これが収穫のサインで収穫は晴れた日が2〜3日続いた天気の良い日に行い、堀上げてから半日ほど天日干しして表面を乾かします。表面が濡れていると腐りやすくなるので注意して下さい(逆に日光に当てすぎるとイモが緑色に変色し品質が劣化します)。
 1つの株から収穫できるジャガイモは品種にもよりますが、10個ほど。
 なお芽欠きをしてひとつの種イモから1本のみ芽を伸ばせば大きめのジャガイモが、反対に複数の芽を伸ばせば小さめながらも多くのジャガイモが収穫できる傾向にあります。

プランターでの栽培


 じゃがいもは根菜なのでプランターなどで栽培する場合、最低でも30センチ以上の深さがないと栽培は難しいです。もしプランターなどで栽培する土寄せ作業なども考慮し場合はならべく容量の大きなものを使用するようにしましょう。


じゃがいも栽培の失敗例



イモが大きくならない

 前述してあるとおり新イモは種イモの上に形成されますので、土寄せを行わないと新イモが成るスペースが確保できず、大きくもなりません。仮に新イモが地表面に出てしまうと日光の光を浴び青く変色し品質が劣化しますし、病害虫も侵入しやすくなってしまいます。
 また芽欠きをせずに複数の茎を伸ばしてもお互いに栄養を取り合う為、イモは大きくなりません。この他植え付けが遅れるとその分イモが肥大する期間が短くなり子イモが多くなる原因となります。



種イモから芽が出ない

 種苗店で購入した種イモ用のイモを芽出しをしたうえで植えたのに芽が出ない場合は肥料が直接種イモに触れてしまっている事が原因として考えられます。じゃがいもに限らず多くの植物は肥料が直接葉茎や根に触れると痛んでしまいますが、じゃがいもは特にその傾向が顕著で元肥がなんらかの理由で種イモに直接触れている場合はイモが傷んでしまい芽が出ないことがあります。



害虫

テントウムシダマシ  じゃがいもを代表する害虫といえは「テントウムシダマシ」。正式名称は「ニジュウヤホシテントウ」で成虫、幼虫共にじゃがいもの葉茎を食害します。比較的気温が低い春先から発生し成虫が成熟期を迎える6〜7月に加害のピークを迎え、じゃがいもを食い荒らした後は他のウリ科の野菜に移動して被害を広げるので早めの防除が必要です。対策としては見つけ次第捕殺し薬剤を散布する際には潜んでいる葉の裏側を中心に念入りに行います。他にじゃがいもの害虫としてはアブラムシ類ジャガイモガ等がいます。



病気

 じゃがいもは比較的病気には強く無農薬でも十分育ちますが、じゃがいもが罹りやすい病気としてはモザイク病青枯病黒あし病黒あざ病、葉巻病等があります。これらの病気は発病すると薬剤が効かないものも多いので、見つけ次第抜き取り処分して被害の拡大を防ぐようにしましょう。