アスパラガス



アスパラガス 栽培 難しい アスパラガスは南ヨーロッパから西アジアが原産のユリ科の野菜で観賞用のアスパラガスもありますが、分類上食用となるのは一種類だけとなります。
 冬は地上部が枯れた状態で冬越しし、春になり暖かくなると出てくる新芽を食べます。ビタミンやミネラルが豊富で疲労回復に効果があるアスパラギン酸も含まれ近年注目を集めている野菜です。
 アスパラガスは種まきから収穫までに2年以上かかるので通常は苗を購入して育てますが、苗が活着するとその後はどんどん成長し何年も収穫することが可能となります。このため栽培は特に初心者でも難しいことはありませんが、成長すると葉が広がるのでかなり栽培スペースを必要とします。 また雌雄株がある植物ですが食用とするのは若い葉茎なので(種子ではないので)雄雌どちらの株でも栽培には特に問題はありません(ただし雄株の方が収穫量は多いといわれています)。



アスパラガスの栽培・育て方のポイント

連作障害は出にくい野菜ですが、8〜10年ほど収穫を続けたら、株分けして別の場所で育てるとよいでしょう。

・弱酸性の土を好みますので、シーズン開始前に苦土石灰を蒔いて中耕し土を中和させましょう。

・新芽はすべて収穫せず何本か残しておき、根を大きく育てるようにします。

・日当たりの良い場所を好みます。

・株と株の間は50p以上としますが、成長すると葉が大きく広がるので数年にわたって育てる場合は1mほど間を取るようにした方が無難です。


アスパラガスの栽培期間・カレンダー


アスパラガス 栽培

 
 アスパラガスにおけるおおまかな栽培暦は上記の通りとなります。あくまでも標準的な時期を示していますので、実際には皆さんが住んでいる地域の気候や栽培する品種により栽培期間は多少前後します。
 種まきのおおまかな目安として発芽適温は日中で25℃以上。また生育適温は15〜20度と冷涼な気候を好み30度以上になると株が弱ってきます。


アスパラガス 栽培 難しい


土作り・苗

 土作りは植え付けの2週間程前に苦土石灰をまき、深く耕したうえで幅120センチほどの畝を作っておきます。その後、50p間隔で植え穴を掘り元肥として堆肥、鶏糞、油かすの他に化成肥料を1uあたり2〜3握りづつまき間土を5〜6pの厚さで戻します。
 アスパラガスは一度植えると同じ場所で数年にわたって栽培することなるので元肥は有機肥料を中心にしっかりと施しておきましょう。

 植え付けは種苗店で販売している苗を購入して植えるのが一番簡単です。
 苗を植える場合は春植えが活着が良いですが、株分けした根を植える場合は初霜が降りるころの秋でも可能です。株分けした根を植える場合は根をよく広げて根株が完全に隠れるよう深植えとします。
 種から栽培する場合は2月頃に苗床などに筋まきし、発芽させてから翌春に畑に植えるようにしますが、発芽適温が25度以上と高いので一般的な家庭菜園の環境では難しいかもしれません。場合によっては十分に気温が高くなってから種を蒔いて発芽させ、翌年になってから畑に植えてみるのも一案です。



肥料

 アスパラガスは苗を植えてから2年間は収穫せず株を育てます。夏になると葉を大きく茂らせ自重で倒伏してしまうので支柱を立てて誘引します。
 肥料は春に新芽が出る頃と収穫が一段落する初夏、そして冬越えの直前に行い、肥料を与えた後は軽く中耕しておきます。



収穫

 収穫は3年目の春から行います。新芽が15〜20pほどなったら地ぎわから切り取ります。収穫後は追肥をし、最低でも1本(できれば2〜3本)残して葉を茂らせます。こうすることでアスパラガスは葉を茂らせ根に栄養を蓄え翌年も収穫を楽しめるようになります。
 アスパラガスの旬は新芽が出てくる春で採れたて旬のアスパラガスは市販のものでは味わえない美味しさが楽しめますが、春以降もペースは落ちますが芽が出てくるので適時収穫していきましょう。放っておくとどんどん伸びて収まりがつかなくなってしまいます。
 なお新芽に土をかぶせ日光が当たらないようしたものがホワイトアスパラです。



※下の写真は放置され伸び放題となったアスパラガス。株がお互いに干渉し合い日当たりが悪くなっている他、自重で倒伏する株も出てきます。
アスパラガス 栽培 株分け


 秋も深まってくるとアスパラガスは成長が止まり、葉茎がだんだん黄色くなってきます。初霜の頃には地上部は枯れてしまうので、地面の付け根からきれいに刈り取り冬越しの準備をします。冬の間アスパラガスは冬眠状態となりますが、春に発芽するにはこの冬眠状態が必要となります。
 このようにアスパラガスは寒さに強く寒冷地でも問題なく冬越ししますが、植え付け1年目のまだ若い株の場合は敷き藁などで養生してやるとよいでしょう。また。刈り取り後は肥料を施し来年春の収穫に備えます。



株分け・植え替え

 アスパラガスは8〜10年ほど続けて収穫することができますが、10年以上株分けもせず栽培していると、やがて勢いがなくなり収穫量も減ってきます。なので8年をめどに株分けして植え替えするようにしましょう。株分けするときは連作障害も考慮し以前栽培していた場所とは別の場所で育てるようにしましょう。



プランターでの育て方 


 アスパラガスは根を十分に太らせる必要があり、根自身も長く伸びることからプランターでの栽培は難しいとされていますが、もしプランターで栽培する場合はなるべく大きなプランターを使用してください。


アスパラガスが細い


 前述してあるとおりアスパラガスは株が定着してしまえばどんどん収穫ができ、栽培は初心者でも簡単な方といわれています。
 この初心者でも簡単といわれているアスパラガスの栽培で多くの方がぶつかる問題点が「アスパラガスが細い」ということ。細い株しか収穫できず「アスパラガスの栽培は難しい」という方もおられるようです。
 アスパラガスが細いということは根が十分に栄養をため込んでいないということ。つまり日光や肥料不足が原因として考えられます。また苗を植えてから2〜3年のうちは根を含めた株自体がまだ未熟な為、茎も細くなる傾向にあります。
 皆さんも収穫したアスパラガスが細いなと感じた場合は一度日当たりや肥料の量を再考してみてください。
 なお余談となりますが、日当たりが比較的悪い場所で育てたアスパラガスが最初のうちは細い茎しか収穫できなかったものが、4〜5年と年月を重ねるにつれ太く立派なものが収穫できるようになったという話をたまに聞きます。あくまでも推測ですが、これは日当たりが悪かった為に、根が栄養を蓄えるまでに4〜5年と通常の倍近くの時間を要したのが理由と考えられます。色々な制約がある家庭菜園の環境では一日中日の当たる場所が確保できない場合も多々あります。このような場所でアスパラガスを栽培し細い茎しか収穫できない場合は根が十分に成長するまで待つというのも一案なのかもしれません。



ジュウシホシクビナガハムシ(アスパラガスの害虫)


ジュウシホシクビナガハムシ アスパラガス 害虫 アスパラガスは他の野菜と比べ病害虫に強い野菜ですが、近年は「ジュウシホシクビナガハムシ」の被害が拡大してきています。ジュウシホシクビナガハムシはハムシ科に属する草食性の昆虫でアスパラガスをはじめとしたキジカクシ科の植物を主食とし、成虫はアスパラガスの穂先部分をウジ虫状の幼虫は成長したアスパラガスの先端部分の柔らかい葉を好んで食べます。
 個体そのものは小さいのでついつい見落としがちですが、穂先を食害され成長阻害をおこし曲がってしまったり、葉を食べられ針金のようになってしまったりと、その被害は馬鹿にできません。特に幼虫に葉を食べられてしまうとアスパラガスの成長そのものが止まってしまうので、ジュウシホシクビナガハムシの姿を見つけたり昨年発生した場合などは早めに対策を講じるようしましょう。
 ジュウシホシクビナガハムシは春になりアスパラガスが芽を出すのとほぼ同じ頃地中で越冬した成虫が出てきてますので、このタイミングで薬剤を散布すると繁殖を防ぐ事ができます。逆にこの時期に放っておくと交尾→産卵→個体増と悪循環が広がっていき、被害も拡大してしまいます。
 下の写真はジュウシホシクビナガハムシの幼虫です。幼虫が姿を見せ始めると被害は加速度的に増加していくので、早め早めに対策を講じていきましょう。

アスパラガス  ジュウシホシクビナガハムシ