堆肥とは? その効果は?



 堆肥とは枯葉や枯れ草、動物の糞といった自然界に存在する有機物を微生物が分解してできたもので、代表的な有機質肥料の1つです。畑に蒔くと微生物の働きにより野菜の育成にとって理想的な団粒構造の土となることや、有機物が分解される課程で様々な栄養成分も形成されそれらが堆肥含まれていることから畑の土作り、元肥の主役となるものです。ただし堆肥は畑の土を肥沃にし野菜の生長を促進する心強い味方ですが、その一方で堆肥そのものに含まれる栄養分のみでは野菜作りに必要な量には届かない場合もあるので他の肥料と併用してその効果が最大限にいかされるようにします。
 堆肥には分解する有機物の種類により様々な種類があり、刈り取った雑草や家庭の生ゴミなどからでも作れることから手作り肥料としても人気があります。


堆肥の種類と作り方


 前述してあるとおり堆肥にはその材料により色々な種類があります。ホームセンターなどで販売されている牛糞や腐葉土なども堆肥の一種ですが、他に家庭でも比較的簡単に作れる堆肥としては生ゴミ堆肥、雑草堆肥、落ち葉堆肥、米ぬか堆肥といったものがあります。ただ堆肥の種類が豊富とはいえその作り方は基本的に同じですので以下にその作り方をご紹介していきます。



堆肥の作り方

 もっとも簡単な堆肥の作り方は材料となる生ゴミや動物の糞尿、枯れ草、稲わらなどを雨が当たらないような場所に山積みにして自然発酵させる方法です。ただしこの方法は広い場所が必要となりますし臭いや不快害虫の発生といった問題もありますので住宅が近くにある家庭菜園の環境では困難です。
 堆肥作りの原理は要するに有機物を発酵・分解させることですから通気性、排水性のよい環境で生ゴミ、雑草といった有機物と微生物が含まれていると微生物の活動を活発化させる発酵促進剤の役割をなす米ぬかや油かすを混ぜればよいわけで、堆肥作りをイメージ的すると以下の図のようになります。緑色の有機物の厚さが約30センチ、土の部分は5センチ前後が理想で、条件がよければ発酵熱のため60〜70度ほど温度が上昇し、その後4ヶ月程度で堆肥ができあがります。
 

堆肥の作り方





地中埋設方式
 地中に埋め込んで作るので悪臭や不快害虫の発生が抑えられます。ただし穴を掘りっぱなしにすると雨水などがたまるので堆肥作りを行うときは有機物を必要量まで貯め一気に行うのが理想的です。また堆肥を取り出すときに再び掘り返さないといけないので、来年野菜を植える予定の場所で作ったり(堆肥をそのまま元肥に使えます)、穴を開けた大型のポリバケツを埋めて作る方もいます。


地上方式
 トタンや木の板などで囲いを作り有機物を投入していく方法。図には描いてませんが、上部はビニールや板で覆い雨風や不快害虫の侵入を防ぎます。またある程度発酵がすすんだらスコップ等で切り返して酸素を供給するようにします。多少手間がかかりますが有機物が発生したら順次投入していけるのが利点です。また最近は堆肥作り用のコンポストも販売されていますので、そちらを利用すると手間が省けます。



堆肥作りの注意点

 ここまで堆肥作りの基本をご紹介しましたがあくまでも基本です。
 筆者の知り合いでは、山野に生えている「茅」を刈ってきてそれを刻んだ物を堆肥の原料に混ぜたり、市販のエノキダケの根っこの部分、つまり菌床を混ぜたりしている人もいます。また大きな漬物樽に有機物を投入してほぼ密閉した状態(日々の換気は行っています)で1年近くかけて堆肥を作る方もいます。堆肥作りに決められた規則などはないので皆さんで工夫して自分の環境にあったオリジナルの堆肥作りをしてみて下さい。ただし注意しなくてはならない点もいくつかあり、そこはちゃんと押さえておいてもらいたので以下にご説明します。


不快害虫
 堆肥を作っていると色々な生物が集まってきます。小バエやミミズをはじめとしてダンゴムシやワラジムシ、ナメクジや毛ヤスデ、そしてこれらを餌とするゴミ虫やムカデ類等です。ダンゴムシやナメクジは農作物にも害を及ぼしますし、農作物に害はないといっても毛ヤスデが大量発生して家の壁などに密集して張り付いている光景などを見ると誰でも悲鳴をあげたくなるはずです。堆肥を作っている場所が害虫の温床になってしまうのは本末転倒なお話ですし、不快害虫が大量発生し自宅やご近所に姿を見せるような事態もなんとしても避けたいものです。こういう不快害虫の被害が予想される場合は地中式、もしくは密閉した状態(適度の換気は行います)での堆肥作りを検討してみて下さい。



悪臭
 刈草や米ぬかといった材料を中心に堆肥を作っている場合は悪臭は発生しにくいのですが、生ゴミや家畜の糞のように動物由来の材料を多く用いて堆肥作りを行っていると暑い夏の日などを中心によく腐ったドブのような強烈な臭いを発することがあります。一度でもこの強烈な悪臭を嗅いでしまうとその堆肥はもう使いたくなくなってしまいますし、ご近所様にも迷惑です。この場合米ぬかをふりかけると数日で悪臭は収まるのですが生ゴミを使用するときは少しずつ加減しながら堆肥作りを行い、場合によっては市販されている電動式の生ゴミ処理機を使用したり、生ゴミの使用は控えるといった処置も検討してみて下さい。
 なお生ゴミを堆肥として使用する場合、大きな肉や魚の固まり、油や塩分を多く含んだもの(例えばカレーとか、ドレッシングをたっぷりふりかけたサラダ等)はNGですし、貝殻や卵の殻なども分解されないのでNGです。貝殻類を肥料として使用したい使用したい場合は、バーナーなどで焼くと脆くなり自然と砕けるのでそれを畑に蒔くとカルシウムの補充や土の改良材として使用できます。



材料として使用してはいけないもの
 堆肥の材料として使用していけないものは前段でもいくつか紹介しましたが、タンパク質や脂肪の塊、塩分などの他にもうひとつ重要なものがあります。それは病気におかされた野菜や茎葉です。病気におかされた植物は処分するのが鉄則ですが、よくもったいないからといって堆肥の材料にしたり畑にすき込んでしまう方がおられます。これは病原菌をまき散らしているようなもので大変危険です。
 住んでいる自治体の規則に従い廃棄するか(通常は燃えるゴミで処分できます)、焼却処分して下さい。ちなみに焼却後に発生する灰は肥料として使用することができます。
 また刈草や落ち葉などでも目に見えない病原菌や寄生虫の卵が付着していることがあり、特に落ち葉は病原菌の温床となりやすく、果樹栽培の現場などでは撤去処分を推奨される場合もあります。これらの病原菌は堆肥を作る過程で発生する発酵熱で死滅しますが、それでも完璧ではありません。もし心配であれば、刈草や落ち葉を一度黒い色のビニール袋に水と共にいれ日なたに10日ほど置いておくと太陽の熱で蒸し風呂状態となり病原菌は死滅しますので、その後に堆肥の材料としてしようすると安心です。



手作り肥料 草木灰


 家庭菜園の現場で簡単に作れる肥料の1つとして草木灰があります。草木灰とはその名のとおり草木を燃焼させて灰にしたもの。肥料の三要素のひとつであるカリウムを豊富に含み、強いアルカリ性を示します。
 カリウムは根菜類には欠かせない肥料で、特に酸性土を嫌うタマネギの栽培などに草木灰は非常に適した肥料となっています。

 草木灰にカリが含まれている理由は簡単で、草木には元々カリをはじめとした様々な成分がふくまれていますが、燃焼させることによりこれらの成分が無くなりカリが残るというもの。この為、燃焼させる際に火の勢いが強いと消失するカリも多くなるので、草木灰を作るときは低温で行うのが望ましいです。



草木灰の作り方

 草木灰は簡単に言えば草木を燃やして灰にすればいいのですが、前述してあるとおり低温で燃焼させるのが望ましいので、一般的には地面に穴を掘り、そこに乾燥させた草木を投入し点火。ある程度燃焼がすすんだら軽く土をかぶせじっくりと燻せばよいとされています。ただしこの場合だと草木を燃やすスペースが必要ですし、長時間燃焼させると煙や臭いの問題も発生しますので、筆者個人的には市販の七厘や調理用の鍋で草木を燃やすといった簡単な方法でも十分だと思っています。なお草木に火を付ける場合は簡単で高火力のガストーチバーナーを用いると大変便利です。



 最後に堆肥作りのノウハウについては鹿児島県農業環境協会のサイトでかなり詳しくご紹介していますので、本格的に取り組んでみたいとお考えの方は参考にしてみて下さい。